6月13日、はじまり商店街と70seeds共同主催のイベント「ドア型人材という生き方」が開催されました。

きっかけは、70Seeds代表の岡山がnoteに書いた記事「消費されない『ドア型人材』という生き方~肩書きってダルいときない?~」。「個の時代」と言われる今を生きる、自分を媒介にして価値が行き交う人を「ドア型人材」と定義し、発信しました。

このnoteに共感した、はじまり商店街代表の柴田大輔氏が岡山に声をかけ、このイベントが成立。岡山がnoteを書いたときに思い浮かべていた「ドア型人材」、岐阜県移住定住コンシェルジュの園原麻友実氏をゲストにお呼びしたトークイベントとなりました。

「ドア型人材とは、一体どんな生き方なのか?」
登壇者3名と参加者の方々とで一緒に考えながら進められた当日の様子をレポートします!

柏木彩織
三陸地方に惚れた東京都出身の大学生。 「東京にいながら、離れていても地方と関わる」をテーマに勉強中。 全国各地で毎月11日に開かれる東北酒場、「きっかけ食堂」のメンバーとしても活動しています。

そもそもドア型人材とは?

フォロワー増やさなきゃ、と言っている人。
オンラインサロンでインプットしてるけど、アウトプットの場がない人。

 

周りを見渡すと「疲れているな、苦しそうだな」と感じることがしばしば。知り合いのインフルエンサーと呼ばれる人であっても、実は周りが思うほど幸せそうではない。じゃあ、本当に幸せな人は誰なのか。

 

それを探りに行こうと岡山はnoteを書き始めたと語ります。

 

「個人の力」が問われる社会となっていくこれからの時代、スキルを磨き、名を売り、自分をキャラ付けしていかなくてはいけない。そう考え「自分のスキルを高めること」「有名になること」にとらわれている人が増えてきています。

 

いろいろ色々な人から声がかかって、自分の名前を売っていくことができる「プル型人材」。

 

しかし求められるものが変わり続ける今の時代、プル型の彼らは結局消費されてしまう。そう考えた岡山が新しい成長の仕方として提案したのが「ドア型人材」です。

 

ドア型人材とは、自分を高めるのではなく、あくまでも自分を媒介にして価値が行きかう「流れ」をつくれる人。存在が「媒介=メディア」となり、周りを活かすことができる人。
あなたの周りにもきっと、思い当たる顔があるはずです。
「なんだかめちゃくちゃ顔が広くて、いい出会いをくれるあの人」
「ふわっとした相談に、いつでも答えを出してくれるあの人」
「何の人、と言えるわけじゃないけどいつもお世話になってるあの人」

(「消費されない『ドア型人材』という生き方~肩書きってダルいときない?~」より)

 

このnoteを読んだときに抱いた共感。自分の頭の中に浮かんだ思い当たる顔。

 

私自身はドア型人材のような生き方はしていないけれど、もしかしたら自分はドア型人材にすごくお世話になっているのではないかと感じました。

人と人をつなぐのはビジネスじゃない

イベントの冒頭で登壇者が「ドア型人材」についておさらいをすると、参加者を巻き込んで次々と議論が展開していきました。

 

「ドア型の人は、自分で行動を起こして、遠くてもいいから会いに行っちゃうようなところがあって、岡山さんが挙げたドア型の特徴である『つながりの深さ』っていうのはそういうところに重要性があるのではないでしょうか?」

 

「noteを読んで、岡山さんの生の声を直接聞きたいと思って来た」という参加者の方から質問が挙がります。

 

「「うごく」っていう部分ですよね。損得で動くって多いじゃないですか。これやって自分の得になるかな、みたいな。それを超える領域が、自分にとってドア型でいられる領域であると思う。それができる相手が自分にとってドア的である相手だと思います。全部が全部ドア的であるのは疲れちゃうと思う。なぜならお金や損得で動いていないから」(岡山)

 

他の参加者からも次々と質問が挙がり、登壇者とのやりとりからだんだんと「ドア型人材」の姿が浮かび上がってきました。

 

「人と人をつなぐのは非常に価値のあることだと思うのですが、その価値をビジネスにすることを考えたりしますか?」

 

「(人をつないで)お金をもらうのではなく、つくるというイメージなんですよね。イベントをやって、人をつなぐことで、お金が生まれている。損得を求めないで動いた結果、お金や対価が生まれるというのはあると思います」(岡山)

 

「人と人とをつないでお金になるとは一切思っていません。つないでいくことでお金になっていったらいいなとは思うけど、そうしようとは思わない。田舎にはいろいろな課題があるので、楽しく暮らすっていうことだけじゃ、自分の暮らしとか地域って成り立っていかないんですね。だから私は、「自分がこれをやることで地域を豊かにしていきたい」という、公助・共助の考え方を持っている人をつなげたいと思うし、そういう人と仕事がしたいと思っています。」(園原)

 

損得を求めずに動いた結果、お金や対価が生まれていく。ドア型人材は、そうして社会を動かしていく人が多い。損得でうごく関係性ではないからこそ、自分自身がドア的でいられる相手や場が必要で、それには相性が大切だと登壇者3人は口を揃えました。

 

そして、「ドア型人材につなげてもらう側の人間」だという参加者から挙がった、「どうやって恩返しをすればいいんだろうと考えるのですが、返してもらって嬉しかったことは?」という質問。園原さんから語られた答えは、この場を象徴するシンプルな態度でした

 

私は、つなぐ相手のやろうとしていることがいいなと思うからやっているだけ。頑張って楽しくやっていく姿を見せてくれたら、それが見たくて応援しているので、そもそも返して欲しいとは思っていません」(園原)

幸せに生きる鍵が「ドア型」

「自分は完全なドア型だというつもりはありません。ドア型の要素もあれば、プル型の要素もある。そして時にプッシュ型の要素を持ってお仕事を取りに行くことだってある。人間は多少のグラデーションがあると思っていて、その中でもドア型の要素が幸せになるための重要な視点かなと思っています」(岡山)

 

「ドア型の要素」とは、つまりお金で買えない価値を知っていて、自分がつなげたドアから何か新しいモノやコトが生まれたときに喜びを感じることのできる人。だからこそドア型は幸せへの鍵となり、ドア型人材は「よい人とのつながりが人生に幸せをもたらす」という言葉を実現させている人のことなのかもしれません。

 

こうやって話を聞いてみるとドア型人材は「個人レベルを超えて、地域や社会を良くしたい、豊かにしたい」と考えている人が多いからか、本イベントの登壇者のように地域に関わる人が多い印象。私の頭に浮かんだドア型人材も地域に関わる人でした。

 

「恩返しなんて考えなくていいから、あんたの次の世代に同じことをしてあげなさい」

 

地域おこし協力隊の知人が、Iターン移住先で家族のように世話を焼いてくれる地域の方から言われた言葉です。彼は私が一番お世話になっているドア型人材。彼がドア型人材になったのも、そうやって人につないでもらった経験があるからなんじゃないかと感じました。

 

つながりがつながりを生み、ドア型人材につなげてもらっていた側の人が、いつしかドア型人材として人をつなぐようにになっていく。そんなつながりの連鎖、ドア型の広がりが見えてきたような気がします。

 

本イベントで語られていたのは、「ドア型人材になるためには」ということではなく「幸せに生きるためのエッセンスにドア型人材という生き方がある」ということ。

 

イベント参加者の方々も、トークイベント後の懇親会にて「ドア型人材という生き方」をヒントに新たなつながりを作り出していました。今日のイベントで生まれたつながりがまた新たなつながりを生み出す日も近いかもしれません。

 

ドア型という生き方は連鎖していく。

 

何かをやろうとしている人を応援するために、人につなぐ。そのつないだ人から、新しい行動につながる。そんなふうに人々の人生のドアになることが幸せに生きる鍵なのだとしたら、このドア型人材という生き方の連鎖は「幸せの連鎖」なのではないでしょうか。

 


このイベントの反響を受けて、新たなトークイベントも開催が決まりました。ご興味のある方、お越しください。

 

『次の70年に何をのこす? 〜伝えたい想いと次の未来について語りたいこと〜』

https://www.facebook.com/events/326419791615783/