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「人間の可能性」と「生臭さ」 マネックス松本大×アーティスト菅隆紀が語るアートとビジネス

アートとビジネス、一見対極にありそうな2つのジャンル。

でも、中世の昔から貴族が芸術家のパトロンになってアートが発展してきたことを考えると、実はもっと広く結びついていってもいいものなのかも!?

 

そんな中、アートとは最も縁遠そうな「金融」の会社が、アート支援に取り組んでいるのを知っていましたか?

その取り組みが、マネックス証券株式会社が主催し、今年で9年目を迎えた「ART IN THE OFFICE」。同社のオフィスを1年間、若手アーティストの作品制作・発表の場として提供するこのプログラムが、アートとビジネスをどうつなげ、若手アーティストの生き方にどんな影響を与えているのか。マネックス証券代表取締役会長CEOの松本大さんと、今年度の選出アーティスト菅隆紀さんに話を伺いました。

 

 


 

 即興のアイデアから生まれたアートの場

 

-「ART IN THE OFFICE」はどういう経緯で始まったんですか?

 

松本:元々は前のオフィスの時に会議室フロアに一部屋円筒形の部屋をつくったんですよ。円筒形の部屋の真ん中に丸い机を置いて。まっすぐじゃないので、相手とすごく話しやすい。円筒形の部屋の目的としてもう一つ、壁面に各グループ会社のロゴやマークを描いて、取材時に私が座る位置を変える事でロゴやマークを背景に写真を撮ってもらえる。いろんな対応ができるようにしようと考えたんですけど。

 

-面白いですね。オフィスっぽくありオフィスっぽくない。

 

松本:でもつくってみたら、壁が丸くなってるのでマークが歪んじゃうんですよ。デザイン担当者からは「これじゃ使い物にならない!なんで(意図を)先に言ってくれなかったの?」って(笑)。そこで私は「んんっ!」っと踏ん張って、ポーンっとひらめいたんです。「ここをアーティストの場にしよう!」と

 

-即興のアイデアだったんですね(笑)。

 

松本:コンテンポラリーアートは見てもらう機会が少なかったりする、一方で我々もビジネス界にいるとあんまりそういうコンテンポラリーアートを見る機会が少ないと。じゃあこの丸い部屋の白い壁面をつかって、アーティストにアートを展開してもらったらいいじゃないかと。

 

-はい。

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松本:そうするとアーティストの方は会社に来てつくるので、ビジネスの現場を見て「あぁこういうことやってるんだ」っていうのが見えるし、ビジネス界にいるうちの社員とかは、「あぁこういうアートがあるんだ」って思うし、さらに広がってビジネス系の取材にきた記者の方がアートを見て「あ!こんなのあるんですか!これは何ですか?」って興味を持ってもらえる。あるいはアート系の方が取材にきて、「こんな風に証券会社って働いているんですか」って、会社に興味を持ってもらえる。そういうフュージョンが起きると面白いなと。

 

-たしかに双方のギャップは大きくて新鮮ですよね。

 

松本:そう。もともと証券会社って、企業と投資家の間を取り持つ場を提供するのが仕事なので、そういう証券会社の生業にも関連して、アーティストとビジネスの出会いの場所を提供するっていうのは面白いかなと思って。それで白い壁を無駄にしないようにポーンと考えつきまして、「やるぞー!」っていうことになりました。

 

-それに対して、社内の反応はどうでしたか?

 

松本:最初はほとんど相手にされず。社長だからってみんなが相手にしてくれるほど世の中甘くないので、社員ほとんど「何やってんの?」って感じだったんですよ。

 

-(笑)。

 

松本:ただそれを数年へこたれずにやっていたら、だんだん社員が巻き込まれてきました。例えば、菅さんのコレ(作品)を見て「うわ!いい!」って思う社員が、全員じゃないんですけど一部いるんですよ。昨年の作品を見て「これいいなぁ」という社員がこれまた一部いる。毎年やっていると毎年違うタイプのアートに出会えるんですね。毎年ゲスト審査員が変わるので。「あ!これいいじゃん!」って思う社員が毎年それぞれ一部いて、段々とアートへ興味を持つ社員が増えてきて。最近では普通に「(ART IN THE OFFICE)いいよね~」みたいな感じですね。

 

-それぞれで気に入るものが毎年違うんですね。

 

松本:ある一部の人にはその作品が受けるっていう。今回は菅さんなんですけど、過去に女性アーティストが受賞したときには、いきなり男性社員の間で人気が爆発したなんてこともありました(笑)。スパークっていろんなところにあるので、それもいいと思うんですよ。どういうところから入ってきたって。多様な対話ですからね。出会いなんです。本当に友達とか彼女に出会うのとほとんど同じだと思うので。

 

菅:人間を好きになって作品を好きになるっていうパターンもやっぱりありますから。「こいつが言ってんだったら面白いじゃん」ってこともあったりするので。

 

松本:色々あるんだよね。社員だけじゃなくて、プレスルームというところに展開しているので、色々な社外の人が一番目にする部屋でもあるんですよね。いろんなメディアの人とか海外の仕事関係者とか、まぁ本当に様々な人が、文化人から金融の人からメディアの人、アメリカ人、フランス人、日本人、中国人、あらゆる人がきて、みんなそれぞれいろんな反応があって面白いですよね。

 

 

「掴みにくるような」アートは負けを認めることから生まれる

 

―選考にあたって何かきまった基準はあるんですか?

 

松本:審査員それぞれの好みがありますかね。ただ選考中も面白くて、審査は5人で3時間くらいかけて同じ部屋でやるんですよ。100くらいの応募ファイルを見て、話しながらやってるわけです。全員がすべてのファイルに目を通します。みんなでファイルを回して、意見や感想を交わしながらやってるから引っ張られるんですよ。

 

菅:面白そうですね。

 

松本:毎回、1名ビジネス系の方に審査員をお願いしているんですけど、この人に引っ張られやすくて。今回は成毛眞さん(HONZ代表)。この人が色々発言をすると、ちょっと微妙に議場の空気が変わったりするんですよ。もちろんアート界のキュレーターや美術館関係の方の意見とかも出てきて、そういうので微妙に議場の雰囲気が変わってくるんですよ。その中で選ばれるので、いろんな意味で世相の部分と個性の部分とうまく混ざっていて最後はポンッとこう「あ、これになっちゃった!」っていう、毎回そんな感じですよ。

 

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-審査フォームは文章なんですか?

 

松本:これがまた大変なんですよ。アーティストの方って基本、造形で表現する人たちなので文章って苦手な方が多いんですよ。でも一応参考として、(完成イメージは)こんな感じですとか過去にこんな作品をつくりましたというのも参考資料としてファイルに入っているんですけども、なかなか面白いですね。

 

-菅さんも文章は苦労しましたか?

 

菅:いやぁめちゃくちゃ苦労しますよ!普段から「主語と述語が逆だよ」ってよく言われるので、たぶん書いた文章もめちゃくちゃだったんじゃないかな。

 

松本:それって例えば僕がビジネスの人が絵で履歴書出せみたいなね、それはほぼ難しくて、音楽や歌で出せって言われても大変じゃないですか。でも結果としてはね、毎年しっくり収まるんですよ。

 

―松本さんは今回、この菅さんの作品のどこに惹かれたんですか?

 

松本:それってどこが好きになったの?っていう話にすごい近いので、まぁ難しいですよね。人を好きになるときに「どこが?」って聞かれても、「わからないけど好きなんです!」みたいなのあるじゃないですか、それとほぼ同義なので。審査員全員のことは代弁できないんですけど、なんかねぇ…(菅さんの作品は)生臭いんですよ…。

 

菅:嬉しいですねぇ、本当に。

 

松本:僕にとってね、コンテンポラリーアートってなんか生臭いものがあるんですよ。どんなにキレイに幾何学的につくっていたり、コンセプチュアルにやっていたりしても僕にとってはコンテンポラリーアートって、作家がひとつひとつの作品から手を伸ばして、何かこう掴みにきているような気がするんですよ。

 

-掴みにきている、というのは?

 

松本:同じ時間に生きてる人なので、やっぱり何か訴えてくるというか、「見てよ!」「何か感じてよ!」って言ってきてる気がするんですね。菅さんの作品はその出し方があらわで、ストレートな感じで、グワーッ!って。いわゆる人それぞれスタイルがあるじゃないですか。人間でも、いざとなるとすごいんだけれども普段はおしとやかな人がいたり、普段から「ワーッ!」って人もいたりとか。菅さんはいわゆる「ワーッ!」系で、「キたなーっ!」て感じがしましたね。

 

菅:アーティストって、モノをつくるときにこう、自分の負けをいったん認めないと次にいけないところがあるので、何かそれができた作家とできない作家のストレートさの違いってあるのかもしれないですね。その自分の汚い部分を認めて、やっと作品をつくっているっていうのが。

 

―その、自分の汚い部分を認めるっていうのが負けを認めるっていう…。

 

菅:負けを認めるっていうかですね。本来なら隠したいところとか、ふつうに社会生活を送るぶんには絶対言わないことをさらけ出したりとか。それがあると「あ、潔ぎ良いな」ってなるんですよね。

 

松本:菅さん距離感近いですよね。かなりね。それは感じますね。歴代の「ART IN THE OFFICE」の中で一番近い。なんか(椅子を引き寄せて)ここまで来てる感がありますね(笑)。

 

-菅さん、真っ赤になってますね(笑)。

 

菅:僕赤面症なので(笑)。しゃべるのにもエネルギーがいるじゃないですか。

 

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-その「社会生活を送る部分で見せたくない部分」って、作家としてそもそも根本的に向き合うものなのか、それとも作品ごとに変わるものなんですか?

 

菅:作家って、ある程度は勢いだけでいけるんですよ。それを出し切った後に、「え、もうこれって全部(ほかの人に)やられてるじゃん」ってなって、「じゃあどうすんの?」みたいな。

 

-なるほど。

 

菅:幼少期の自分から戻っていかないとその先がないんですよ。「あの人苦手だな」って思ってる人の意見を再度聞き直してみると、違うことが見えてくるときがあるじゃないですか。認めたくない部分を認めた瞬間にやっと「これがやりたかったんだ!」みたいなことがちょっとだけ見えてきたりします。今僕が見えているかは別としてですよ。きっかけは掴んでますよね。

 

―それは何度も何度も繰り返してるんですか?

 

菅:何度も何度も繰り返してます。死ぬまでやります、これは。ここで満足ってなってたらバイバイってなってたと思います。言葉にできない「何か」とか、あの時に引っかかった「何か」を言葉にできないから芸術をやってるんだと思います。

 

―松本さんからするとそういう部分って、毎年作品を見ている中で感じ取る部分なんですか?

 

松本:個性はありますよね。菅さんはストリーキング系。

 

菅:そうですよね。

 

松本:ほんとそれは作家それぞれだと思います。今までの9名の中でも、菅さんは距離感が近くてストリーキング系。そうじゃないふわっとした感じの人とか、みなさんそれぞれの表現というか生き方がありますよね。

 

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-毎年違うのもみなさんに楽しんでもらえている要素のひとつなんでしょうね。

 

松本:僕が楽しんでるんですけどね。やっぱりアートって、アートのことどうこういうほどえらくないんですけど、先ほどから申し上げてるように、人だと思うので、「あぁ今度こんな友だち!こんな人きた!今度の転校生すっごい頭いい!」そんな感じですかね。

 

 

オフィスから受けるノイズが生み出すもの

 

―アーティストさんにとって、普段展示されてるような場所と、こういうオフィスでやることとの違いってどんなものがあるんでしょう。

 

松本:それは人それぞれで、淡々としてる人もいれば「生まれて初めて会社に来ました」とか、「生まれて初めて満員電車に乗りました」って人もいたりして、要は全然違うところで暮らしてきたりしているので、かなり面白いですよ。

 

―たしかに。よく「美術品が好きでオフィスに飾ります」って社長さんがいますけど、それとは全然違いますよね。意図しているところというか。

 

松本:「ART IN THE OFFICE」では、受賞作家さんが完成している作品を持ってきてくれるわけではなくて、ここ(社内のプレスルーム)で2〜3週間くらいかけてオフィス内で制作します。社員が行き来する中でつくってくださっている。

 

菅:この作品は、ここでしかできなかったと思います。ここにきてオフィスのノイズを拾ってきたわけですから。DJのMIXみたいなノリで描いてるので。

 

松本:今ここに作品としてあるんですけども、一種のインスタレーションみたいなものだと思うんですよ。しかも、9年間やってるので、ART IN THE OFFICE全体でみても、ひとつのインスタレーションっていうか、作家の人がいて、社員がいて、世情というか、その世の中が9年間で変わってきていて。その中でひとつのインスタレーションみたいな感じかなという気もしますね。

 

―菅さん自身は、今回みたいにオフィスでやるのって初めてなんですか?

 

菅:初めてですよ!見てください、僕、外でやってきた人間なんです。

 

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Sugar Works Dropping Project in Kyoto

 

だから今回ちゃんとした空間に戻ってこれたことに一番喜びました(笑)。制作はしてるけどちゃんとした発表が履歴に書けないというのがずっと続いてきたので、今回、ART IN THE OFFICEでやっとここ(自身のプロフィール)に載せられます。

 

―これまでの作品は、ポートフォリオにするっていうのはあまり公にしづらいことが多かったんですか?

 

菅:普通だったら「○○展出展」って書けるじゃないですか、でも僕のはプロジェクトなので、「○○でやってきたゲリラ展示」ってことになってるから、いつも「勝手にやってるんだね」っていう扱いなんですけど、それを拾ってくれたというか。美術館とか美術のシステム外でやる方が、僕としてはストリートアーティスト気質っていうか、自由度高いです。

 

-そういうスタイルは苦労も多そうですよね。

 

菅:そうですね。さっきの作品もまさにそうで、展覧会で一週間展示する予定だったんですけど、街の人の声があって5時間で撤去。「これ無い方がいい」とか、「いい加減にしろ!」とか「これは無礼だろ」とか。でもそれってモノをちゃんと認識してくれたってことなんです、だからマイナスもマイナスだけじゃないというか、ちゃんと意味もわかるんだなって。

 

松本:いいねぇさすが!

 

菅:3時間で撤去とか、警察が来たりとかありますし。それはそれで面白いですね。面白くはないか。

 

松本:ロックですね!

 

-そういうスタイルはアーティスト活動を始めた当初から?

 

菅:いえ、大学を卒業して勢いだけでつくってた時期が3~4年くらい。「どうだ、どうだー!」って言ってたんですけど。どうも美術館とかホワイトキューブの中ではすごく表現できないんじゃないかと思ってて。だったら外側からエッセンスを抽出してこようじゃないかってことで、一番最初に野外に設置しにいこうと思って銚子の沖に作品を設置したのがコレなんですけど。

 

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Sugar Works Dripping project in 銚子

 

これには裏テーマがあって。この作品は男性のシンボルなんです。海岸からやってくる渡来神と肉体を持たないセックスをするみたいなイメージで、作品を海岸に持っていったんですよ。

 

-面白いですね、どういうインスピレーションがあったんですか?

 

菅:バックパッカーでアメリカを旅した時に、「アメリカの看板超かっこいいな、そんな作品がつくりたい」って。で、どうせやるんだったら何かと交信したいなと思って。モノリスとかからも影響受けてるだろうし、突然バッとやろうというか。コンパネ材(チップが凝縮された板材)を使ったんですけど、それって多面性みたいな、いろんな層がミックスされた板材を切り抜いたところが、異世界に通じるようなものになってる感じがあるなって。これが海岸や自然の中にボーンってあったらおもろいやろな、と。

 

松本:これはどのくらい展示できたんですか?

 

菅:これは3時間ですね。夜の3時に行って、ひどい雨が降って暗い中で2時間で設置して。設置してこれから空が明るくなってくるときに、何かの撮影ロケがきたんですよね。「人が来た!」と思って撤収始めてたら、2段目を外した時にパッと晴れたんですよ。「もってない」と思いましたよ。僕雨男なんですよね。

 

―銚子とかとくにもったいないですよね。

 

菅:そうなんですよ。晴れていればめちゃくちゃキレイなんですけど。

 

松本:今度連れてってくださいよ。僕ウルトラ晴れ男なんで。

 

菅:お願いします(笑)

 

 

生と死のリズムを整える場所

 

―菅さんは作品のテーマに性とか宇宙とかよく取り入れるんですか?

 

菅:生と死の世界を行き来したいといいますかね、今って生だけの世界が光輝くように照らされてるじゃないですか。でもそうかと思うと、路地裏にいくとトイレとか洞窟にいくとひっかき傷で電話番号とか書いてるわけですよ、イタズラ書きですね。でもそれってその電話番号とか別の意味で人間の「ここから抜け出したい」っていう欲求でそうさせてるんじゃないかとか。

 

-はい。

 

菅:たとえばテーマパークにいくと、園内ってゴミが一切落ちてないじゃないですか。とても華やかで「あの世」のようなところ。生だけの世界で窮屈だから死を体験しに行ってるんじゃないかとか、生と死がもちろんどっちかだけでもだめだから、今生きてる人達がそういう洞窟的な場所とか、テーマパークとかに行ってリズムを取り戻そうとしてるんじゃないか、ってところにちょっと興味がありますね。

 

-生と死のリズム。

 

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菅:たとえば、童話なんかでも「灰かぶり」(「シンデレラ」の和名)では、いつもシンデレラが汚い場所、つまり魂に近い場所で作業しているから精霊からドレスとかマジックを提供された。「赤ずきんちゃん」も一回狼に食べられて、狩人に引き裂かれて魂の世界からもどってきた。というような、暗いサイクルにとても興味がありますね。

 

―作品からそういうところも感じ取ってほしいと。

 

菅:これは僕の意見ですが、アート作品を見る人は自由に感じ取って受け取ってほしいと思います。僕はそういうコンセプトでつくってます。

 

松本:人なんですよ。本人はそう思ってるけど「お前はそうじゃないよ」っていうのもあるし、あるいは長く付き合って「実はこうだったんだね」ってのもあるし。そういうのって、人もアートも同じようなもんなのかなって。とくにコンテンポラリーアートは、生ものなんですよね、生臭いんですよね。どういう表現にしても「かまって~」みたいな。これがね、僕好きなんですよね。

 

-そうですね。自分をアピールしてるわけですからね。

 

松本:バロック音楽とは違うんですよ。ちゃんちゃんちゃかちゃか~♪バロック音楽も聴きますけどね!バロック音楽も聴くけれども、違うんです。

 

 

アートは私たちの生活の一部。

 

-松本さんが生臭さに惹かれていくのはなぜなんでしょう?

 

松本:人間ですからね、たかが人間されど人間、人間より大きいものはないので。宇宙なんか大きいって言いますけど、宇宙なんか脳みその中にあるわけですからね。創造の産物であってあんなのわからないですからね、本当はどんなもんだか。何億光年なんつって、全部はここ(頭を指差しながら)にあるわけですから、すべてのことが。そう考えると人間が一番とめどない大きさと可能性というか、多様性を持っているのが人だと思うので、だから人に興味がある。アートに限らないですけどね、音楽もそうですし、人の表現だと思うんですよね。

 

-アートとビジネスの関係も同じですか?

 

松本:ビジネスも人がつくっていて、人がそれを認めてくれなければビジネスにならないから。アートも全部人間がやってることですし、別にそれだけだと思うんですよね。別にアートがビジネスにとって、強いプラスとかマイナスの効用があるかといったら別にないと思うし。でもアート無しの人生って僕はあんまり考えられない。そういった意味では、もしかしたらビジネスの世界ってアートのことを何となく排除しいてる感じはあり、もっとそれは普通に一緒にしていいじゃんって思うくらいですかね。

 

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-菅さんはアーティストの立場からすると、このART IN THE OFFICEの取組をどう思いますか?

 

菅:もうずっとやっていってほしいですけどね。心からそう思います。

 

松本:ずっとやっていきます。まぁふつうだと思うんですよね。会社でアート買って置くというと、「すごい高い」とか「何でやるの」とか、いきなりハードルが高くなるんですよ。一緒に存在するというのはもっと普通のことで、そういうのはもっと増えた方がいいなって思いますけどね。

 

-当たり前に。

 

松本:特別に文化的な取組を・・・とかそういうのじゃなくて、当たり前じゃん、という感じで。「ごはん食べるでしょ?お味噌汁飲むでしょ?アートあるでしょ?」みたいな感じなのかなって思いますけどね。「うんちするでしょ?なんでうんちしないの!?」みたいな。それに近いですね、「うんちしません」っていうのが何にもないオフィスみたいなイメージ。

 

菅:生臭いですね。すごく良い話な気がする。