杜の都・仙台。東北地方で最大の都市には現在、楽天やメルカリなどIT企業が次々と進出しています。そこには、民間企業と行政の連携による「仙台=ITが盛んな都市」を目指すという想いがありました。仙台市経済局で企業誘致を総括する小関達也さんに、同市の取り組みについて話を伺います。



“東京にこだわらない働き方”を推進する「OFF TOKYO」。70seedsも主催者の一員として関わるこのプロジェクトとの連動コンテンツとして、IT先進自治体の取り組みをご紹介します!

東京と同水準のやりがい・給与で、プライベートも充実

‐なぜ「OFF TOKYO MEETUP」に参加しようと思ったのでしょうか?

東北最大の都市・仙台には、ITエンジニアの方が活躍できる場がたくさんあることをPRしたいという思いから参加を決めました。

日本の人口は2008年をピークに減少を続ける中にあって、仙台市は現在も人口が伸び続けています。これは、仙台が多くの方々に選ばれているということです。

OFF TOKYO MEETUPでは、首都圏のITエンジニアの方々に仙台の良さを知ってもらうことで、ITをキーワードに仙台がより盛り上がるきっかけになれば嬉しいです。

‐企業誘致にもさまざまな方針があると思いますが、IT企業の誘致に力を入れている理由について教えてください。

移住を決めるときに重要なのは、やりがいのある仕事があるかだと思います。

東北全体の傾向として、進学や就職を機に若い方々が「東京」に流出する現状があります。これは、「地元にやりたいと思える仕事が少ない」と認識されていることも理由の一つと考えています。

仙台に魅力的な企業をさらに増やし、東京と同じような仕事ができる環境作りを進めることで、若い方々の仕事の選択肢の幅を広げるため、積極的にIT企業の誘致に取り組んでいます。

‐仙台に進出しているのは、例えばどんな企業がありますか。

エリクソン・ジャパン、日本アイ・ビー・エムなどの大手外資系企業が事業所を設置しただけでなく、メルカリなど勢いのあるベンチャー企業も次々と事業所を設置しています。

 

(画像:仙台に立地している企業の一例)

 

‐仙台の事業所は、東北地方でのビジネス展開拠点という位置付けなのでしょうか。

東北でのビジネスだけではなく、東京のチームと一緒になってプロジェクトを完成させるなど、さまざまですね。

リモートでも同じ仕事ができるのはITの良いところでもありますし、私たちとしては「どこで稼いでもいいのならば、仙台がオススメ」と伝えています。

‐具体的に何がオススメですか。

地方に移住すると生活水準が落ちると思う方もいるかもしれませんが、仙台だと東京にあるものはだいたいありますし、仙台ならではの良いところもたくさんありますよ。

‐「仙台ならではの良さ」とは?

まず、食べ物がおいしいです! 車で30分ほど行くと海や山、温泉地がありますし、東北楽天ゴールデンイーグルスやベガルタ仙台などを筆頭にスポーツ観戦も楽しめます。

真夏日・真冬日の合計日数は県庁所在地の中では最少で、とても過ごしやすい街です。

家賃も東京より安いので、その分趣味やプライベートにお金を使えますよね。また新幹線だと東京まで約90分なので、東京の友達と会いたくなれば、すぐに会いに行くこともできます。

 

 

一緒に仙台全体を牽引してくれる方々を大募集

‐東京と比べたときの住環境の良さは確かに魅力的ですが、今度は他の地方都市との差別化が必要になってきますね。その点での仙台市の特色は何がありますか?

IT企業同士の顔の見える関係があり、一緒に仙台を盛り上げていこうとする機運があります。

例えば、メルカリやメンバーズ、楽天などが中心となり、仙台でのIT産業活性化や連携強化に向け、盛り上がりを見せ始めています。

こうした企業が地元企業や仙台市とも一緒になって、さまざまなイベントの開催や自社企業の情報発信を行っています。

10月28~29日には、仙台のIT企業が企画の主体となり「仙台IT文化祭」を開催しました。子どもから大人まで、ワークショップやトークイベントを開催することで、ITに関心を持つ方の裾野を広げるイベントとなりました。今年度が初めての取り組みです。

 

(写真:仙台IT文化祭の様子)

 

‐仙台市としては何か取り組まれていますか?

例えば、主体的に活躍するIT企業と連携して、9月15日に「SENDAI IT CAREER TALK」というイベントを開催しました。

大学や専門学校で就職支援をしている教職員を対象に、IT企業のオフィスツアーやトークセッションを行いました。東北各地から、多くの教職員の方々に参加していただきました。

(写真:SENDAI IT CAREER TALKの様子)

 

‐学生ではなく、教職員の方々なんですね。

まずは教職員の方々に、ITの現状を知っていただきたいなと。私も首都圏のIT企業に訪問するのですが、オフィスに芝生が生えていたり、オシャレなソファがあったりとスゴイじゃないですか(笑)。

イベントではIT業界の現状を知ってもらうだけでなく、企業と教育機関がお互いを知ることで、どのように連携できるかを議論する場となりました。

‐民間企業と行政が、連携して取り組めている印象があります。

ありがとうございます。こうした取り組みに加え、2017年度中には、学生向けの合同企業説明会も開催できたらと思っています。

まだ仙台はIT産業で先進的な都市イメージはないかもしれませんが、企業と行政、教育機関が力を合わせて取り組むことで、そう認知されるよう働きかけていきたいです。

‐仙台に拠点を持つIT企業は、増えているのでしょうか?

新たに仙台に進出する企業の数は、2015年度から毎年増えています。「地方で自分らしく暮らしたい」、「東北の実家にすぐ帰れるようにしたい」など、ITエンジニアの方々が移住を検討する理由はさまざまだと思いますが、仙台にはITエンジニアの方々の仕事の面での活躍の場がますます増えているといえるでしょう。

またITエンジニアの方々は、どんどんスキルアップしていきたいと考える方が多いですよね。

仙台市は、技術コミュニティなどのITエンジニア同士の交流の場ができつつあるところですし、自分たちで新たな環境を一から作れるフェーズでもあるので、やる気のある人に、ぜひ、これからの仙台という都市をけん引してもらいたいですね。

‐移住してほしい人は、やはりエンジニアさんなのでしょうか。

当然ながら、移住してほしい人、してほしくない人みたいな区分はありません。

私たちとしては、エンジニアの方に限らず、デザイナーやプロデューサーの方など仙台をITが盛んな都市として盛り上げる全ての方々を大募集しています!

‐ありがとうございます。最後に、今後の抱負について教えてください。

今、ITビジネスが盛り上がり始めている仙台は、都市としての魅力があるだけでなく、やりがいのある仕事がどんどん増えています。

今は民間企業同士だけでなく、行政も連携することで「仙台=ITが盛んな都市」を目指しています。仙台や東北地方出身の方、それ以外の出身の方も、ぜひ一緒に盛り上げていきましょう!