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元転勤族のモヒカンブロガー・勝手につくば大使が見つけた「地元の風景」

初めて訪れたつくばで、面白いお兄さんと出会いました。

金髪のモヒカンに、何かマジックで書かれたボロボロのたすきをかけている。ガタイも良く、野太い声……。

一瞬怯みましたが、声をかけてみると、彼は「勝手につくば大使」というブログを運営している大学生だということがわかりました。名前は小村政文(こむらまさふみ)。

勝手につくば大使のリンクはこちら

 

つくばのあれこれを突撃取材し、発信しているブロガーです。

彼のブログは、ラーメン屋のマスターの人生に迫ったり、イベントに参加したり、山に登ったり、昆虫採集したり…。めちゃめちゃディープ、そして常に体当たり。

 

そんな、2017年11月に活動2年目を迎えた「勝手につくば大使」の活動。現在ではFacebookのいいね!が1000件超、Twitterのフォロワーも2000人と、まさに乗りに乗っています。

いち大学生が文字通り「勝手に」始めた活動。どのように始まり、大きくなっていったのか、インタビューを通じて迫りました。

 


 

 

転勤族だから気づけた当たり前の大切さ

 

 

「勝手につくば大使」読みました。すごくディープな内容で面白かったです。ネタはどのように集めているんですか?

 

基本的には自分で街を歩いて調べたり、口コミで紹介されたりすることが多いです。最近では少しずつ知られるようになってきて、お店の方から「紹介してよ!」と言ってもらえることも増えてきました。

 

ーたまたま入ったお店で、「ここ面白いな!」と取材を始めちゃうこともあるんですか?

 

ありますね。というか、基本的にはアポを取らずに突撃してます。お店の前にソローっと車寄せて中覗いて、いけそうだったら行く!みたいな。忙しそうに見えても意外と取材できちゃう場合もあるので、結構勘が大事なんですよ(笑)。まぁ、基本体当たりです!

 

ーそうなんですね!ブログの中で、転勤族だったことが紹介されていますが、どれくらい転勤を経験されていたんですか?

 

幼稚園から高校まで、北は北海道の網走、南は兵庫まで、計9か所の転勤、引っ越しを経験しています。

 

ー9回!かなりハードな転勤族ですね。

 

そうなんですよ。子供のころは転校が寂しくて仕方なかったです。せっかくできた友達とすぐに別れちゃうし、お別れ会ではいつも号泣してました。その経験もあってか、できた友達とずっと一緒にいたいという思いから、埼玉にある中高一貫校に通いました。

 

首からかけている勝手につくば大使ネックレス

 

それでも転勤の激しさは変わらなくて、首都圏の中でも柏→駒込→日暮里と、3回引っ越しを経験しました。中高一貫校でずっと同じ友達と一緒に過ごしたいという希望は叶いましたが、逆に「帰ってくるところ」に対する愛着は皆無でしたね。ただ、いるだけ、住むだけ、という感じ。

 

ーそんな小村さんのバックボーンが活動に影響を与えていることはありますか?

 

「地元」がなかった自分にとって、「地元の同じお店に通う」という誰もがするであろう経験がなかったんです。つくばに来て初めて、同じお店・場所に通っていくうちにお店のおばちゃんやマスターと会話が生まれて、仲良くなって……という、「地元の風景」に気づくことができた。そんな経験からつくばをより好きになれたことには、転勤族という僕のバックボーンが影響していると思います。

 

 

「コストコタクシー」からの出発

 

ーそんな「勝手につくば大使」ですが、始まった経緯を教えてください。

 

きっかけは大学2年のころに始めた「アイデアノート」でした。とにかく面白そうなビジネスっぽいことを思いついたらノートに書き留めるものです。それまで「パチンコ、麻雀、酒」の典型的ダメ大学生生活をしていたので、何かやらねば!と始めました。

 

ーなるほど、そこにアイデアの一つとして「勝手につくば大使」があったと?

 

いえ、違います。ひとっつも浮かびませんでした。ちなみにそのノートに書いてあって、一番自信があったのは「コストコタクシー」ですね。

 

ーコストコタクシー?

 

簡単に言うと、筑波大生がよく利用するコストコに、代わりに行って買い物するという宅配サービスです。大学生に喜ばれるかなと自信はあったんですけど、今思うとしょぼい商売ですよね(笑)。

 

ー(笑)。アイデアノートに無かった、つくば大使というアイデアはどこから降ってきたんでしょうか。

 

とあるきっかけで、大学の先輩にアイデアノートを見せる機会があって。「色々アドバイスください!」と意気込んでいったら、数秒でノートを叩きつけられて「つまんねぇ、やめちまえ」と言われたことがあったんです。

 

ー嗚呼、コストコタクシーが……。

 

 

その瞬間は絶望しましたが(笑)、そこから「一緒に何か考えようか」と言ってくれて。その末に考え付いたのが「勝手につくば大使」だったんです。聞いた瞬間に面白そう!と思いました。

 

ー始めることに迷いはなかったんですか?

 

1年間の成果を一晩でつぶされて、「俺には何も思いつかない」と絶望していたところでしたし、「つまらない」というだけでなく「一緒に考えよう」って言ってくれて、どんだけありがたいんや……と。いわばそのときは「なんでもやります状態」でした(笑)。その先輩には今でもしょっちゅうアドバイスをもらっているのですが、本当にその先輩との出会いは人生を変えてくれたなぁと思っています。

 

ー先輩、すごくいい人だ……。

 

その先輩、今は神輿職人をやっているんですが、今度「マツコの知らない世界」に出演するから見てみてください。僕も神輿担ぐので出てますので!(※既に放送済み)

 

 


 

 

ーそこから始まっていった「勝手につくば大使」ですが、大学生がいきなり突撃して「取材させてください!」と言っても、なかなか難しいこともあったのではないでしょうか。

 

ありましたね。始めたてのころ、1度とある喫茶店に突撃して「取材させてください!」と言ったら、4時間説教されたことがありました。

 

ー4時間!?

 

しっかり企画の説明をしたんですが、「つまんねぇ」と一蹴されて。でもそういったリアクションはごく一部で、たくさんの方が取材に協力してくれました。取材させてくれた方に「知り合いが店を始めるから行ってみてよ」みたいな感じで紹介してもらって、またその知り合いの方を紹介してもらって……という風に、数珠つなぎで取材の輪が広がっていくとのが、面白いなと思っています。

 

ーそれはローカルならではの現象ですね!面白い!

 

 

新たな活動「勝手につくばーらんど」

 

ー小村さんが大使としてこれからやっていきたいことはありますか?

 

今力を入れているのは「勝手につくばーらんど」というフリーペーパーです。2年間取材してきて、つくばの様々な「ひと」に出会ってきました。この取り組みで、スポットの魅力だけでなくその場にいる「ひと」の魅力を伝えていきたいと思っています。いま考えている表紙がこういうのなんですが……。

 

 

ー誰ですかこれ(笑)。

 

ラーメン屋のおっさんです(笑)。で、めくったらこんな感じ

 

 

めくったらこんな感じ

 

ーいつものラーメン屋のおじさんということですね。フリーペーパーらしい仕掛け!

 

そうそう。フリーペーパーをきっかけに、お客とおっさんが「なにしてんすか!」「いや大使がさ……」みたいに、会話が生まれるような仕掛けを作っていけたらなと思っています。もっとこう商品もだけど、店長っていう一人の人に会いに行くような感覚でお店に行くみたいな。それが「地元ならでは」の風景だと思うので。


なのでフリーペーパーでは商品よりも、とにかく「ひと」を伝えていきたいと思っています。他にも、スナックのママさんにインタビューした美熟女図鑑とか、そういう人びとの人生に迫っていくような、ちょっとツッコミどころがあって、それをネタに会話が生まれるような、そんなディープな情報を届けていきたいと思っています。

 

ー美熟女図鑑、めっちゃディープで面白そう……。


スナックに限らず、やっぱりお店をつくる人って人生懸けてるじゃないですか。なんとなくでお店を作る人なんて一人もいない。そう考えると、ただの食べ物、商品もひとつの「作品」だと思うんです。お客さんは、その想いを知ってるか、ただ食べるだけかで味わい方も楽しみ方も変わってくる。ただお金を払って食べるだけじゃなくて、お店の想いを感じながら食べられる、そんな仕掛けを届けていきたいと思っています。

 

 

お祭りでつくばの「壁」を取り除きたい

 

ー小村さんの、「勝手につくば大使」をやっていくうえでの最終的な目標を教えてください。

 

つくばって都会ゾーンと田舎ゾーンがあって、ここにすごく壁があるんです。田舎はつくばが開発される前の、いわば旧住民のゾーン。僕は田舎の人とも親交があって、この田舎ゾーンを盛り上げていきたいというのがあります。

 

ーそのために、どんな仕掛けをつくっていくんでしょうか?

 

ズバリ、お祭りですね。「勝手にまつりつくば」というのを開催するというのが夢です。さっき出てきた神輿職人の先輩と一緒に、たくさんのローカルのお祭りに参加しているんですが、ローカルって独特のアツ~い祭があるんですよ。例えば、これは先輩に和歌山県すさみ町に連れて行ってもらったときのなんですが……。

 

 

ーうわぁ、楽しそう!

 

この人たちは高校の同級生でもなければ何かの団体というのでもなくて、ただ地域のお祭りというだけで集まってる。祭りがなかったらこの風景はないんですよね。ただ単に地元の人間というだけで、祭りが好きな人たちが集まってきてて、こんな風にノリノリになれる「地元」って、素敵で豊かな風景だと思うんです。

 

ーたしかに、普段は何もつながりがない人が集まる場所ってないですよね。

 

こういう「ただ純粋に楽しいから来てる」みたいな風に知らない人が集まる場をつくばでできたら、めちゃめちゃ楽しいと思うんです。それで、田舎ゾーンにはお祭り文化がまだ残っているので、ルーツを見出して、こっちで勝手に楽しんでる姿を発信して、「一緒に楽しみたいならこっちにおいでよ」みたいな感じで、都会ゾーンの若者が田舎に来るようなことをしていきたいです。

 

ー都会から田舎へ、で壁を取り除いていきたいということですね。

 

そうですね。まぁでもそれは先の話で、まずはフリーペーパーでつくばの中を知る機会を作っていきたいと思っています。

 

ーフリーペーパー、それからお祭りとすごく楽しみです……。最後に、小村さんにとっての「地元」が何か、教えてください。

 

人の顔が見えてくる場所かな、と思います。日暮里に住んでた頃は、外食には行くけどそこで働いている人の顔なんて全然見えてなかったし。つくばで「地元」っていう感覚が芽生えたのは、そこに住むひとの顔が見えて、交流が生まれたからだと思います。当たり前のようで、僕にとって全然当たり前じゃなかった「ひと」がいる、それが地元なのかな。

 

だから、市とか自治体が地元なんじゃなくて、「ひとがいる場所」が地元なんだと思います。”この人と会うエリア”みたいなものの集合体が僕にとってつくばで、「地元」ですね。

 

 


 

【取材を終えて】

取材に来た私を、めちゃめちゃ明るく迎え入れてくれた小村さん。取材の終わりには、おすすめの中華調理屋さんに連れて行ってくれました。タンメン、めっちゃ美味しかったです!

エピソードを聞いていく中で、小村さん自身がつくばのあらゆる情報が集まるメディアになっていることを感じました。70seedsではこれから、小村さんがつくばで紡ぐストーリーを追いかけていきたいと思います。

まずはフリーペーパーですね! 楽しみ!

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丸山 彬

長野から上京してきた大学2年生。 自分の「面白そう!」「会ってみたい!」な感覚をたよりにジャンルフリーにあっち行ったりこっち行ったり。 学生、若者の「ハートに火をつける」手法を模索中。