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「現代」にいなくても、居場所はあった。モダンガールからあなたへ「生き方のスヽメ」

現代の女性には珍しい、ショートカットにくっきりメーク。現代を生きるモダンガール、淺井カヨさんは、現在住んでいる東京都の小平新文化住宅から、大正から昭和初期を彩った女性「モダンガール」の時代である大正末期~昭和初期の生活を実践、Twitterや日本モダンガール協會を通して、その様子を発信しています。

 

モダンガール(modern – girl)

現代的な娘。新しがり屋の女の子。モガ。大正末から昭和初年の流行語。 大辞林第3版より

 

彼女の実践は服装、メークだけではありません。冷蔵庫に自転車、更になんと家屋までもが当時のモノを再現した暮らし。取材した淺井さんのお宅で、取材陣はプチタイムスリップを体験しちゃいました・・・

 

 

淺井さんのご自宅

 

玄関には黒電話が。いまだに現役で使用されています。

 

さらにさらに、コチラは冷蔵庫。氷を使って冷やすという、当時のものを再現して使用しています。

 

ここまで再現されてもなお、淺井さんは「追求する時間が足りない」と、キラキラした目で私たちに語ります。かっこよすぎる・・・

 

今回の70seedsでは、そんな淺井カヨさんにがっつりモダンガールの魅力を語ってもらうとともに、自分の好きなことを見つけ、実践するには。「自分の生き方」を見つけるにはどうしたらいいか、聞いてきました。

 


この時代の生き方、私に合っているかも

 

 

ー淺井さんは、いつ頃モダンガール、大正時代の文化と出会ったんですか?

 

初めの出会いは小学校のころです。はじめはモダンガールではなく、明治、大正時代の建物との出会いがきっかけでした。

 

ー建物、ですか。

 

小学生のころ、岐阜にある日本大正村というところで大正時代の建物と出会いました。そこで、日本人の作った洋館の独特な雰囲気・・・木造の床やレンガ造り、手作りのガラスの波打った表面など、全てにおいて冷たさがない、安心するなあと感じたのが大正時代との出会いです。

 

ーこの淺井さんのご自宅である小平新文化住宅も、そういった建築が再現されたものなんですね。

 

そうです。

 

洋館!という雰囲気の部屋がある一方で…

 

和室もあります。火鉢とストーブも!

 

ーどうして大正時代の建物に安心感を抱いたんでしょうか。

 

小さいころ、実家の敷地内にあった祖父母の家ではまだ薪を使ってご飯を炊いていたりして…それを間近で見ていました。それで、そういったものに親しみがあったのだと思います。

 

ーなるほど…逆に、現代の建物に対して嫌悪感のようなものは感じますか?

 

嫌悪感は感じません。ですが、現代の建築物に居心地の悪さを感じることがあります。昔から、大正時代が、私に合っているのかな、とは思っていました。

 

ーモダンガールという存在とはいつ頃出会ったのでしょうか。

 

大学生のころです。大学図書館で見た高畠華宵(たかばたけかしょう)、蕗谷虹児(ふきやこうじ)の画集を見て率直に「いいな」と思いました。

 

ー何を「いいな」と感じたのでしょうか。

 

あの時代、ほとんどの女性が和装で長髪、という時代に洋装、断髪、濃い化粧で出てきた…それだけでなにか気概のようなものを感じますね。当時こそ賛否両論あったようですが、そんな彼女たちをみて「かっこいい」と感じました。

 

 

「現代」だけが生きる場所じゃない

 

ー大正文化、モダンガールとの出会いは分かりました。ですが、単に「モダンガールになりたい」ということでしたら、単に週末にコスプレ…という楽しみ方でもいいのかなぁと思います。淺井さんがお家まで建ててしまう、その原動力はどこにあるんですか?

 

私は決して本物のモダンガールではありません。モダンガールは大正末期から昭和初期の人びとのことであって、どんなに愛好しても、私は本物になることはできません。私はその時代、モダンガールがいた時代のことが知りたくて、実践して生活に取り入れて追体験したい、その思いで今の生活をしています。

 

単にモダンガールのファッションをしたいということでしたら、週末だけ…ぐらいの感じでいいのかもしれないですが、私は知るためにやっています。生きているうちにどれだけ自分の進む道を極められるか…というのが私の人生のテーマなので、週末だけだったりしたら、とても時間が足りません。

 

ーなんだか、ご自身の体を使った実験のような感じがします…

 

実験…そうですね。大正の文化にいかに近づき、いかに残せるかということを考えて生活していますので、趣味という領域ではないですね。こういった文化を知っている方がどんどん減っていっていますので、誰かが伝えていかないといけないという思いはあります。

 

ー使命感のようなものを感じているということですね。

 

使命感…というよりなによりもまず、この時代を生活に取り入れることが自分に合っていた、ということがあります。先ほども申したように、幼いころから先の時代の文化に触れてきて、その暖かみを感じる中で、現代の文明の中で生きるより、現代の文明に、大正昭和の良いところを取り入れたいと考えています。他の人には「古い、不便だ」と言われるかもしれないけれども、私にはこの生き方が合っているから実践しているんです。

 

 

現代の文化に思うことがないわけでは無いですが、否定するつもりは全くありません。でも、現代の社会に疲れたりとか、別の生き方を探しているという方がいたら、こういう自分の好きなことを極めていくという生き方もあるという提案にはなると思いますね。

 

先の時代にこういうものがあったんだよ、ということを伝えることによって、誰かがそういった身の回りの古いものを見直そうかな、という気持ちになるかもしれない。そんな変化が訪れればいいなと思いながら生活しています。

 

 

現代文化を否定はしない。けど・・・

 

ーお話する前、てっきり淺井さんは「アンチ現代」のような方なのかと思っていました。自分に合った生き方を実践しているだけなんですね。

 

アンチ現代ではないですよ(笑)今の技術や生活は江戸や明治、大正に昭和と連綿と受け継がれ、つながっています。昔があったからこそ、今があります。現代を否定することは、大正時代を否定することにもなります。ですから、現代社会に思うことはあれど、否定することは、決してありません。

 

ーその、「思うこと」聞いてみたいです(笑)

 

そうですねぇ…例えば、服装ですね。

 

ー服装、と言いますと?

 

TPOに合わせて服装を変える、ということが現代ではなくなってきているように感じます。とくにTシャツですね。Tシャツは下着、という感覚なので、外出着として着ている方を見かけると少し違和感を感じます。今日丸山さんはきちんと着られてますね。

 

 

ー(たまたまだけど良かった・・・)ほかに違和感を感じることは何でしょう。

 

あとは言葉遣いですね。街を行く女性の言葉遣いが気になることがあります。たとえば「メシ」や「食う」など、女性の荒っぽい言葉を聞くのは非常に違和感を覚えます。

 

 

出会って、知って、あなたの好きな生き方を

 

ー今回淺井さんを取材したテーマの一つに自分の「好き」と出会うにはどうしたらいいか、というのを聞きたい、ということがありました。ズバリ聞きます。自分の「好き」を見つけるにはどうしたらいいでしょうか。

 

この世界のありとあらゆるものをたくさん見たり、聞いたりすることです。これに尽きると思います。自分の足で歩いて、色んなものを見に行ってください。「これはいいな」や、「これはイマイチだな」と、様々な世界で、様々な出会いをして、いろんなものを見ていくなかで、あるときふっと「あ、これだ」と思うのではないかと思います。それが見つかればもう、周りなんて気にしなくなりますよ。

 

ー淺井さんは、モダンガールに出会うまでにどんなことをしてきたんでしょうか。

 

地元の芸大生で絵が好きでしたので、とにかくたくさんの美術展、展覧会に行きました。日本に限らず、多くの絵や写真を見ていく中で、自分が特に反応するものはすべて大正、昭和初期の時代のものであるということにある日気が付いたんです。「あ、私やっぱりこの時代が好きなんだ」って思いました。

 

 

ー淺井さんがモダンガールの時代の生活を追体験する中での、最終的な目標を教えてください。

 

どうしても、大正、昭和初期のことをもっともっと深く知りたい。まだまだ知らないことばかりですので、生きている限り、そのことを追求したいと思っています。その中で最終的には、自分には現代社会が合わないと思っている人、なんとなく違和感を持っている人に対して、「こんな生き方、どう?」と提案していけるようなことを、もっと広めていけるようなことができればと思っています。

 


 

記事の中でご紹介させていただいた淺井さんのご自宅【小平新文化住宅】は、ご主人で、音楽史研究家の郡修彦(こおりはるひこ)さんと共に主催する「蓄音器鑑賞会&建物紹介」にて、随時公開されています。この記事で淺井さんの生活、おうちが気になった方は淺井さんのTwitter、日本モダンガール協會のホームページにて公開日を確認した後、ぜひ一度足を運んでみてください!

 

 

さらにさらに…淺井さんが追求してきたモダンガール、大正、昭和初期の暮らしの一面を描いた「モダンガールのスヽメ」が本日より70seedsストアにてお取り扱いを開始しました!詳しくはECページまで!

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丸山 彬

長野から上京してきた大学2年生。 自分の「面白そう!」「会ってみたい!」な感覚をたよりにジャンルフリーにあっち行ったりこっち行ったり。 学生、若者の「ハートに火をつける」手法を模索中。