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「軍服のボタン」だった有田焼ーHOPE for PEACE展が魅せる「出会い」

東京・六本木の東京ミッドタウンで開催中の「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」。その一角で「有田焼のボタン」が主役の、「HOPE for PEACE展」というイベントが展開されています。

有田焼のボタンと「PEACE」、一見つながりのなさそうな両者を結びつけたものは何だったのでしょうか。

「HOPE for PEACE展」を主催するSTYLE MEETS PEOPLE代表の松浦さんにお話を伺いました。

 

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-まず、今回“平和につながる”をテーマにしたイベントを開催することになったきっかけを教えてください。

 

今回のイベントは大きく2つのきっかけが「つながった」ことによって実現できました。

 

まず、一つ目のきっかけは、有田焼のボタンとの出会いです。有田焼は2016年に誕生400周年を迎えるのですが、我々としてもなにかアクションを起こしたいと考えていた時に、初めて有田焼のボタンと出会ったことでした。

 

もう一つのきっかけは、東京ミッドタウン内で「DESIGN TOUCH」というイベントが開催されることになり、イベントのメインテーマが「つながるデザイン」というものだったことです。戦後70年という節目の年に、人々に改めて「戦後70年の今」を考えてもらうようなきっかけを作れればと、以前から思っていました。

そこで、「戦争」と「今」をつなぐデザインとはなにか、と考えた時、歴史的な背景を持つ「有田焼のボタン」を使ったイベントを行おうと思いついたのです。

 

-今回のイベントのきっかけにもなった「有田焼のボタン」にはどのような歴史的背景があるのでしょうか?

 

有田焼のボタンは戦時中、陸軍の軍服に使われていた物だったそうです。戦争が進んでいくと日本は物資不足になっていきます。

そんな中で。代替え品として磁器を使ったボタンが軍の意向によって作られるようになり、伝統工芸で培った高度な技術を用いて実現したのが「有田焼のボタン」だったと言われています。

 

-戦時中の物資不足は有名な話ですが、有田焼にもそのような影響があったとは知りませんでした。

 

実際、イベントにいらっしゃるお客様も、有田焼のボタンを見て「有田焼にそんなストーリーがあったのか」という反応をしてくださいます。

「有田焼のボタン」が戦時中はそういった形で利用されていたことが、その時代の背景を知ってもらうきっかけになれば、というが今回のイベントの目的でもあります。

 

-HOPE for PEACEでは単にボタンを展示するだけでなく、ボタンを使った作品も展示されています。

 

実はそれぞれの作品にも、今回のイベントテーマにそったメッセージが込められているんです。今回のプロジェクトでは複数のクリエイターの方にご参加頂いてますが、作品自体はクリエイター自身の発想にお任せし、ボタンと対峙してもらっています。

 

-作品自体にはどのようなメッセージが込められていますか?

 

例えば、こちらの名刺入れは有田焼のボタンだけでなく、戦前に作られた伊勢型紙も使われています。

 

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有田焼ボタンと伊勢型紙、どちらも現代になって生まれ変わり、出会ったものです。また、赤いステッチには戦時中戦地へ赴く人へ送られた千人針を思わせます。一見すると和風の名刺入れにボタンが付いているというものなのですが、それぞれの背景を知ると捉え方が変わってきますよね。

 

-作品の誕生にストーリーが存在する、ということですね。

 

はい。更に言うと、これらの作品は今という時代だからこそ実現したと思っています。「有田焼のボタン」が誕生した戦時中では、出会えなかった物同士を組みあわせて作品を作り、それらが存在した事実を語り継いでいく。「DESIGN TOUCH」のコンセプトはデザインをどんな人でも五感で楽しめるというものですから、作品を通し「有田焼のボタン」をより多くの方に見ていただき、触れていくきっかけになればと思います。

 

-今回のイベントを元に、今後どのようなことに取り組んでいこうとお考えですか?

 

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今回「HOPE for PEACE展」はクリエイター中心の企画になりましたが、実際に開催してみるとお客様を中心とした一般の方々からも参加してみたい、という声を頂きました。次回はこの有田焼のボタンを使って、一般の方も参加できる双方向なイベントを行えれば、と思っています。

 

やり方として、ボタンを使って「ピース」を直接表現するようなアート作品を作るという方法もあるかと思います。これは、今回のイベントを行う前にも考えたことだったのですが、ただアート作品を作るだけではそれだけで終わりになってしまうのではないか、ということに気づいたのです。

 

我々としては、今回の有田焼をフックにして最終的には「ラブ&ピース」を目指しています。それを実現するためには、人々に何かを訴えるというよりは、まず今の世の中を考えてもらえるようなきっかけが必要だと思っています。

 

1つのお店としてできることには限界がありますが、来年には有田焼400周年も控えています。様々な人を巻き込んで単なるイベントで終わらない、人々に何かを感じ取ってもらえるような取り組みを、今後も行っていきたいと思っています。

 

 

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dito

島系男子

1990年、神奈川生まれ。島とメディアをこよなく愛する25歳。