自然と触れ合える環境で生活したい。子どもにのびのびと育ってほしい。

複業やリモートワークがふつうになりつつあるなか、自分らしい子育てと仕事を両立する方法として、移住がより身近な選択肢になりつつあります。

とはいえ、
地方での仕事ってどんなもの?子どもの教育は?特有の人間関係は?
などなど、考え始めると疑問や不安は尽きないもの。

一歩踏み出してみたいけど、踏み出せないーー。
そんな悩みにヒントを届けるため、実際に地方に移住しながら仕事、子育てをしている3人がトークイベントを開催しました。


ゲスト
絹張蝦夷丸さん
2019年春に北海道上川町に移住。地域おこし協力隊をしながら、自身のコーヒー屋さん・キヌバリコーヒーを経営。

北川由依さん
2015年春に京都に移住。会社員とフリーのライターとして活躍。

モデレーター
岡山史興
2018年秋から舟橋村と東京での二拠点生活。70seeds代表。

岡山 史興
70Seeds編集長。「できごとのじぶんごと化」をミッションに、世の中のさまざまな「編集」に取り組んでいます。
園部 優樹
1996年茨城生まれ。立教大学観光学部在学中。 地元を愛していますが、時間とお金があると色んなところへ行ってます。

仕事も生活も、移すことに囚われない

地方への移住を考えるとき、まず大きな不安要素ととして挙がるのが仕事のこと。

「田舎に仕事はあるのだろうか」「生活水準は下がらないだろうか」

今回のイベントでも特に話題になったのが、リアルな「稼ぎ方」の話でした。絹張さんのスタイルは、上川町の中で様々な場所でカフェ営業をするというもの。

「今は地域おこし協力隊のフードプロデューサーとして上川町の公共施設内のカフェでスイーツやドリンクの開発をしながら、色んなところへ行ってコーヒーを出店したりイベントに登壇したりしています。将来独立することを前提とした協力隊の募集だったので上川町を選びました」(絹張)

対して、あとの2人は「生活を営む場所とお金を稼ぐ場所」が必ずしも同じではない働き方。今の仕事を続けながら住む場所を変えるという選択肢、いわゆる二拠点、多拠点生活です。

「私は1週間の半分を会社員、もう半分をフリーのライターとして働いています。収入は住んでいる京都からが8割、あとの2割は東京です」(北川)

「僕は東京での仕事のほうが収入のメインになっています。東京でお金稼いで、地方でいろいろと挑戦していくのもありなのかなと」(岡山)

今の職場から通勤できる範囲に移住したり、週末だけ移住したり。それぞれのライフスタイルにあった働き方ができるようになった今、柔軟に生活場所を選ぶことは、理想の働き方を実現するためのひとつのヒントになるかもしれません。

また最近では、ふるさと兼業サイトや移住に関するイベントなど、マッチングの機会も増えています。今のスキルを活かして地域の案件に関わるきっかけも、以前よりライトに作ることもできるようになっています。

 

地方だからできる背追い込まない子育て

そして、今回のもう1つのテーマ、「子育て」について。

「のびのびと子どもを育てたいけれど、教育はしっかりしているだろうか」

「子どもと一緒にまちに溶け込んでいけるだろうか」

人と人との距離感の近い地方だからこそ、移住者にとっては安心と不安が同居しがちでもあります。

絹張さん、北川さんはともに、地域の「近さ」が子育てをしていく上で心強い支えになった、と口を揃えます。

「上川町の人たちが気に掛けてくれたり、パパとママ友の繋がりもできることですぐに溶け込むことができました。ゆるいコミュニティがあるのは心強かったですね」(絹張)

「会社にも子どもを連れて行ったりすることで、周りの大人との関係作りはするように心がけています。周りに共感や理解をしてくれる人が、程よい距離感でいてくれることで助かっています」(北川)

子供の頃から親以外の大人と接しながら育つ環境が得られるのは、地域に根ざして暮らすからこそ。

親以外の価値観に触れることで多様な考え方やコミュニケーションが身につきます。

「家庭が落ち着いてないと仕事にも向かえないので、家庭が安定しているというのは仕事のためにもすごく大事だなと思っています。地方だと、私たち親だけで背負いこまず、地域で子どもの面倒をみてくれるのでとても助かります」(北川)

「都会は人の多様性はあるんですけど、大人と子どもの接点を作りづらいですよね。田舎に住んでいると嫌でも子どもは大人と関わらないといけないので、それがまた良さでもあるかなと思っています」(絹張)

身寄りがないところに移住するとき、周りとの助け合い根付いている場所かどうか、は大きな判断基準のひとつになりそうです。

 

つながる安心感とかかわる楽しさ

そんな「地域のかかわり」を重視したまちづくりに取り組んでいるのが、岡山が移住した先でもある「日本一小さな村」富山県舟橋村です。

第二部では、富山県舟橋村役場の吉田さんから、舟橋村が進める「子育て共助」のまちづくりについての話が紹介されました。

アンケートや未就学児童を持つ全家庭への訪問など、6年間にわたって村独自の調査をした結果、子育てのまちづくりの土台として重要なのはコミュニティという結論に達した舟橋村。

ただし、住民に求められているのは、決して密で強固なものではないという点が肝要なのだ、と吉田さんは語ります。

距離感がある緩いつながり、選択できるコミュニティーが複数あることで、住民が居場所を見つけられるようになる。人は誰でも好き嫌いもあれば合う合わないもあります。いろんなコミュニティを試すことで、自分に合った安心感を持てるコミュニティを見つけられるのが舟橋村の強みなのだそう。

さらに、いいコミュニティの条件として挙げられたのは、自分の関わる余地があるかどうか。

「舟橋村ではサービスを受けるのではなく、サービスに関わるという仕組みにこだわっています。与えられる満足ではなくて、関わることで得られる楽しみが子育て世代の方々に人気です。音楽会やイベントにただ来てもらうのではなく、楽器を演奏するなどして参加してもらうようにしています」(吉田)

また、子どもたちがのびのび育つのに大切なのが公園。都会だとルールや公園の大きさによって思うように遊べないことがありますが、舟橋村の公園は一味違いました。

「公園を使っている人たちにルールを決めてもらおうと、子ども公園部長という公園を作って運営していく役割を小学生の中から募集しました。子どもたちは自分たちで作る公園に対してかなりの愛着を持っています。この仕組みが評価されて公園コンクールで国土交通大臣賞を受賞しました」(吉田)

村が今年10月に開設したばかりの子育て支援住宅もこの公園を活かした設計になっており、地域と一緒に子育てできる仕掛けが細部に行き届いているのです。

大切なのは、移住する前に現地を知ること

柔軟な働き方ができ、充実した子育て支援を受けられる。都会に比べて周りが助けてくれやすい。とはいえ、地方に移住する決断はなかなか自分一人で決められるものでもありません。移住したいと思ったとき、「パートナーの説得」が大きな壁になる事例は、あちこちで聞かれます。今回の3名はどんな道を辿ったのでしょうか。

「子供を産んだ時に、子どもをどうこうする前にまず自分たちがやりたいことをして自分たちを満たそうと、最初に夫と話しました。移住してどこに住みたいという話は、みんなが健康で仕事が安定している土台があるからこそできると思います」(北川)

「最初に上川町のパンフレットを見せてどれくらい賛成か聞いたら10%と言われました(笑)そこから何回も週末に車で上川町に行って、ここに病院があるとか学校があるとかを見せていたら、最終的に奥さんだけでなく友達も一緒に地域おこし協力隊に応募するまでになりました」(絹張)

「現地を知るのは大事ですよね。移住したら毎日顔を合わせる人たちがいるので、そういう人たちと事前に関係を築いておくのも大切です。あとはパートナーに無理強いをしないことかなと思います」(岡山)

気になった街に気軽に遊びに行き、自分たちにあった街を見つけること。移住を成功させるための道は意外とシンプルなことなのかもしれません。

 

【お知らせ】「子育て共助」の舟橋村に行ってみませんか?

移住先を見つけたいけれど、どこから手をつけたらいいかわからない。

そんな方に向けて、70seedsでは、舟橋村「1日体験」を開催します。

日本一小さい村のコミュニティ体験ツアー

今回のイベントでも紹介のあった、富山県舟橋村はこんな特徴のある村です。

・日本一面積が小さい村なので、村のどこからでも小中学校は1キロ圏内
・年少人口割合(人口全体における15歳未満の割合)が富山県内で1位、全国でも14位
・立山連峰の麓にあり、自然豊かで水が綺麗
・富山市まで電車で15分、車で20分というアクセスの良さ

子育て世帯が次々と移住している秘密を実際に体験できる機会として、実際に子育てのため移住した、70seeds編集長の岡山が案内します。

東京での⼦育て環境に疑問や、難しさを感じているけれど、⾝寄りがなく、移住先になじめないことへの不安がある方、リモートで仕事ができるので子育て優先の移住を検討している方、ぜひこの機会に舟橋村を訪れてみませんか?

詳細はこちらから。

https://funahashitour2001.studio.design