人生を変える大きな選択も、小さな一歩から 〜先輩から聞く移住のリアル〜

移住を成功させるのに大切な、移住前からの関係作り

第一部では、移住専門誌「TURNS(ターンズ)」のプロデューサー、堀口正裕さんが登壇。富山と東京の二拠点生活をしている70seeds岡山との対談が行われた。

日本の各地域で多くの移住事例を見てきた堀口さんは、「移住を成功させるために重要なのは、移住をする前になるべく多くの地域の人と会い、コミュニケーションを取っておくこと」とアドバイスをした。

コミュニティのつながりが強い地域だからこそ、いきなり飛び込むのではなく、事前に関係を築いておくことが鍵となる。事前に関係を築いておくことでよそ者扱いされることなく、むしろ「ようやく来たのね！」というようなウェルカムな空気で迎えてもらえるのだ。

今回のようなイベントやSNSなどを通じて、東京にいながらも地域のキーマンとつながりやすくなった今、フットワークは軽く、気持ちは真剣に行動を起こせばそのあとに続いていく関係が作れるだろう。

移住して15年の先輩に学ぶ、地域に溶け込むための秘訣

第二部ではイベントを主催した愛媛県西条市出身のタレント眞鍋かをりさんと、15年前に西条市に移住して「西條そば　甲」を営む荻原甲慎さんによるトークセッションが行われた。

18歳までを西条市で過ごした眞鍋さんは、「海も山も近く豊かな自然があるところや、仲間意識が強くて暖かく見守ってくれるコミュニティが魅力」と西条で過ごした半生を振り返った。

一方で、仲間意識が強いがゆえに最初は入り辛かったと振り返った荻原さん。しかし今振り返ると、その原因は自分の姿勢にあったと自らの経験を語った。

「自分の考えを押し付けるばかりで、地域の方のことを考えていなかったことがよくなかった。地域の集まりにはなるべく参加し、地域の方との交流の時間を増やしました。地元の大阪弁をやめて、西条弁を話すようになったことでさらに打ち解けられました」（荻原さん）

移住は言葉の通じる外国に引っ越すようなもの。縁もゆかりもない地域に移住してうまくやっていくには、まずは自分からよそ者であるという意識を捨てて地域に溶け込む努力が必要だ。そんな「移住をするだけでうまくいく、なんてあり得ない」というリアルな声を参加者に伝えた。

移住する前にしておくべきこと

イベントという生でしか聞くことのできないリアルなトーク内容に会場は盛り上がり、参加者の移住への関心の高さが感じられた。

そしてイベントの最後には、西条市から同市の移住プログラムについての説明が行われた。

西条市は「2019年版 住みたい田舎ランキング」で全部門において四国第１位、「若者世代が住みたい田舎部門」で全国第５位に輝いた街であり、移住相談員などの充実した支援もまた西条市の魅力の1つとなっている。

なかでも特筆すべきなのは、完全オーダーメイドの個別移住体験ツアー。参加者の希望に合わせてツアーが組まれ、西条市で生活する先輩移住者や地元住民との交流会をはじめ、西条市の魅力に触れられるコンテンツが盛り沢山。この内容で交通費などを含め完全無料（お土産代などは別途実費）だというから驚きだ。

イベントやSNSで地域に住む人たちとつながりやすくなったとはいえ、実際にその人たちが住む場所で顔を合わせる機会を持つのは、やはり何ものにも代えられない。TURNSの堀口さんが話していた「移住する前から実際に足を運び、地域の人とつながりを作っておくこと」を市が先頭を切ってサポートしているのだ。

きっかけはすぐそこに

移住に興味がある場合は先輩移住者や地元の方の声を聞くのが一番だが、なかなかイベントやツアーに参加できない方もいるだろう。そんなときは各自治体が発信している移住者向けの情報を参考にするという手もある。

西条市も、下記のサイトで情報発信を行っている。

同市への移住を検討している方を対象とした移住促進サイト「LIVE IN　西条saijo」：(https://live-in-saijo.com/)

市民ライターによるPRサイト「LOVE SAIJO」：(https://www.lovesaijo.com/)

西条好きが西条を応援するファンコミュニティ「LOVE SAIJOファンクラブ」：(https://www.lovesaijo.com/love-saijo-fanclub/)

先輩移住者の濃密な体験談なども多く、水の都、西条で潤いのある人生を始めたくなるようなきっかけが見つかるかもしれない。

長いようで短い人生、自分の人生を作り上げるのは全て自分の選択の積み重ね。自分が本当に納得できる豊かな人生を送るため、「住む場所を変える」という大きな選択をしてみる。少しでもビビッときた方は、できることから始めてみてはいかがだろう。