「これからに残したい価値やストーリー」のある商品を届けている、70seeds STORE。取り扱っているのはスタッフが実際に手に取り、作り手の想いを聞き、「ほしい!」と思ったものばかりです。

惚れ込んだ商品への愛を、作り手の方々に愛をぶつける連載「使うひと、作るひと」。愛用者と生産者が、それぞれの視点で商品への愛を語るとき、そこに何が生まれるのでしょうか。

今回取り上げる商品は、『SHIZQ』のぐい呑み。徳島県神山市で山や川を守るために立ち上がった「神山しずくプロジェクト」で、販売や企画、SNS広報など幅広く担当する作り手の東條さんと、日本酒を愛するぐい呑み愛用者の70seeds STOREスタッフ鈴木が「神山杉のぐい呑みで飲むお酒の楽しみ方」について語り合います。

前編では、SHIZQの取り組みや、杉で作られたぐい呑みの魅力を伺いました。人工の杉が放置され、密集してしまっていることで起きている山や川の課題解決のため、杉を使った商品を作るSHIZQ。職人さんとともに作り上げるぐい呑みのこだわりに、愛用者の鈴木もため息をつく内容でした。後編では、どんなお話が聞けるのでしょうか。

使う人:鈴木賀子(すずき・よしこ)
食いしん坊コネクタ。茨城出身。つくる人と受け取る人のあいだで、日々に心を寄せつつ、PRとして世の中を前に進めています。ときめく対象は、ごはん、日本酒、器、お花、飲食文学&マンガ。

作る人:東條由佳(とうじょう・ゆか)
徳島県神山町で山や川を守るために立ち上がった「神山しずくプロジェクト」にて、杉を使った商品を生み出すブランド『SHIZQ』の販売や企画、SNS広報など幅広く担当。4年前に京都から神山に移住しました。

加工しづらい木材、杉

――前編の最後におっしゃっていた「アイスクリームスプーンは杉で作るのは難しいかも……」とは、どういうことでしょうか?

東條「実は、杉で細かい・薄いものを作るのは難しいんです。杉は他の木材に比べて柔らかく、含まれる油も少なくパサパサなのが特徴。だからもともと、「円形加工」と呼ばれる、木工ロクロの技術で削ることができる木材に杉は入っておらず、建築材として板状にすることが一般的でした」

鈴木「こんなになめらかなSHIZQの商品を見ていると、なんだか信じられない……」

東條「職人さんの手だからこそ生み出せるものですね。機械で削った杉の表面は、こんな感じです」

鈴木「すごい、ケバケバですね」

東條「これが一般的な機械の刃物の限界。ケヤキやトチ、サクラ、同じ針葉樹でも油分の多いヒノキであれば機械でももっとなめらかに加工できるので量産できるのですが、杉で量産するのは難しいです」

――とても手間暇がかかるんですね。

東條「そうなんです。しかも柔らかすぎる杉は、手で削るのにも杉専用の刃物を作らないといけない。刀鍛冶して、刃物を作るところからですよ。そんな面倒なこと誰がやるんだって、話をした多くの職人さんが嫌がりました。杉を加工してくれる人を見つけること。それがSHIZQとして最初の課題でしたね。

ようやく出会えた職人さんが『命ある木はどれも一緒と思ってますから、この木でやってもらえますか?と言われたらやります』って、一から一緒にチャレンジしてくれたから、今のSHIZQがあります」

鈴木「今は何人くらいの職人さんがSHIZQの商品を作っているんですか?」

東條「2人です。まだまだ現役だけど、職人の技術も引き継いでいかなきゃいけないなと思っています。私たちがやりたいことは、山を良くして川の水を増やすこと。未来につないでいく取り組みだから、5年や10年では終われない。続けていかなきゃいけないんですよね」

鈴木「SHIZQの商品の、このしっとり感は職人さんの手作業の賜物なんだな、と思いました。割れないからガラスや陶器・磁器の酒器よりもラフな扱いしていたかもしれないので
もう少しソフトタッチで大事に使っていきたいです」

削ってみるまでわからない、木の個性がでる器

――逆に、杉だからこそできることもあるんでしょうか?

東條「そうですね、鶴シリーズにある赤と白のグラデーションは、杉ならではの色合いです。その色を出すために、こんなふうに丸太からピザのように木材を取って加工します」

鈴木「え!そんな向きで取ってるんですね!」

東條「はい。一般的には、木が生えてる方向に縦向きに木材を取っていることが多いです。そのほうが材料がたくさん取れるし、職人さんにとっても加工がしやすい。生産性を考えたら、こんな取り方はしませんね。でも、SHIZQではやっぱり杉の一番の特徴であるこの赤と白の色を活かしたいから、とても贅沢な木の使い方をしています」

鈴木「そうやって、あのグラデーションができてるんですね。赤白だから縁起もよくて、お祝い事などの贈り物にもオススメしていました」

――デザインの面でもこだわっているんですね。

東條「そうやって木材を切り出していて面白いのは、表面の木目が横に向いていることですね。ひとつの杉から削り出して、木目が横を向いているものって、ほとんどないと思うんです。他にない魅力かな、と思います」

鈴木「よく見ると、木星みたいな素敵な模様なんですよ」

東條「個人的には、SHIZQのお皿も好きで。杉の根に近い部分を使っているので木目がはっきりしていて、杢 (もく) と呼ばれる筋が出るんです。削ってみるまで、どんな模様が出るかわからないのがおもしろいですね」

鈴木「それぞれ杉の個性が出て、オンリーワンって感じでいいですよね」

スタッフみんなで杉を切る、神山にいるから見えること

――東條さんは神山で職人さんを身近で見ていますが、現場はどうですか?

東條「SHIZQのスタイルとして、スタッフ全員、私自身も山に入るんですね。さっきお話したように、一般的な形で切り出さないため、材料を用意してくれる材料屋さんもない。だったら、自分たちで確保しようとみんなで山に入ります。

木を切る時期、通称「切り旬」には、地元の製材屋さんの協力の下、SHIZQのスタッフもチェーンソーを持って木を切ります。“自分たちでやっている”っていうのは、SHIZQとしての魅力だと思います。お客さんと話しているときも「私が切ってるんですよ」って言えたりして」

鈴木「東京のお店だと、そんなスタッフさんはなかなかいないですね(笑)」

東條「神山に来てみたら、まわりの人がみんな何でもできるんです。おじいちゃんやおばあちゃんは畑をやったり、お菓子作ったり、洋裁が得意だったり。都会だとお金で解決する事が多いんだけど、自分の手で作り出すことを当たり前のようにやってる人が多いです。

私自身も、“自分の手で”っていうのは目指したい暮らし方だなと思っています。だから、SHIZQで木を切ったり、薪割りしたり、自分の手で商品を作っていくのは、面白みと喜びを感じます」

杉のぐい呑みで乾杯したら、日本の山が元気になる

――鈴木さんは、オンラインで注文したんですよね。

鈴木「そうです。とても丁寧な梱包で、緩衝材には杉の木屑が使われていて驚きました。箱を開けた瞬間、ものすごい杉の香りなんですよ!“これは神山から届いたんだ”って実感できるくらい。あまりにいい香りなので、数日間は箱を開けておいておきました」

東條「最近は、オンラインで購入してくださる方が増えてきましたね。直接お客様と会ったり商品に触っていただけない分、より丁寧に伝えていかなければならないなと考えています。杉の魅力や、神山がどんな場所で、どんな人達が作っているかとか、少しでも体験していただけたらなと思っています。SHIZQを見つけてくださったのは大事な縁だから、こちらの嬉しさが伝わればいいなって」

鈴木「本当に、とってもいい体験でした」

――商品をとおして伝えていきたいのは、どんなことですか?

東條「やっぱりSHIZQが始まったきっかけと同じ、山や川を守りたいということ。それは神山だけじゃなくて、日本全体が抱えている問題でもあります。日本の山や川の水を守らなければいけないのは、他人事じゃないと知ってもらいたいですね」

鈴木「お酒や食事のシーンは、器で大きく気分が変わってくるものです。それは見た目や飲み心地も然り、その背景にあるストーリーを知ることもお酒をおいしく飲む方法のひとつなのかなと思います」

東條「私自身も、物を選ぶ基準が変化していると感じています。どんな作り手が携わっていて、どんな思いで生まれたのか。それを知った上で、私のモチベーションを上げてくれるのかって考えるようになったと思います。この商品を使ったら、山が元気になる、未来につながる。そういうことを考える、きっかけの器にもなってほしいですね」

鈴木「このぐい呑みでお酒を飲むたびに、神山のことや今日のお話を思い出すと思います。いつか、実際に乾杯しましょう!」

――一度は手に取っていただきたい、軽くてなめらかなSHIZQのぐい呑み。おふたりの対談を読みながら、触ってみたいと思われた方も多いのではないでしょうか。おふたりとも、ありがとうございました!

70seeds STOREでは、SHIZQ愛用者のみなさんからの「私はSHIZQのこんなところに惚れ込んでいる!」といった感想も伺ってみたいと思っています。使うひとの愛、ぜひお聞かせください!

「SHIZQのぐい呑み」が気になった方は、こちら

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