「これからに残したい」商品を、作り手とともに届ける70seeds store。運営するスタッフは、物に込められたストーリーや作り手の想いをこよなく愛するメンバーです。

素敵な商品を見つけるたびに私たちの口から出るのは「会いに行ってみたいなあ」という言葉。実際に作り手に会いに行き、直接現場を見せてもらうことで、商品への愛がより深まるのは間違いありません。

商品の特徴だけでなく、その裏にある作り手のストーリーまで届けたい……。そんな想いから、スタッフが作り手さんの元を訪れる企画がスタートします。今回は、70seeds storeで新しく取り扱いを始めたfutashiba248さんのところにお邪魔して、草木染め体験をさせていただきました!

農業廃棄物で染め物をするって、どうやるの?草木染めってむずかしい?初めての体験にドキドキしながらハンカチを染めた、体験レポートです。

草木染め、やってみますか?

以前、70seedsで取材したfutashiba248として活動する夫の関将史さんと妻の裕子さん。メロンの葉やりんごの木、栗の皮など、茨城県の農業廃棄物から染め物を作り出す、地域密着型の染色クリエイターです。

なぜ、おふたりが農業廃棄物を使用するようになったかのストーリーや想いは、こちらの記事を読んでみてくださいね。

今回、70seeds storeではfutashiba248さんの新商品「農colorマスク(栗染め)」のお取り扱いをスタート!栗の皮で染められた和紙素材のマスクは、肌にすっと馴染んで男女ともにおすすめしたいマスクです。

取材でお話を伺う前から、私たちはさまざまな農作物で染められる草木染めに興味津々!どうやって染液を作るんだろう、どうしたらきれいに染まるんだろう、どんな色になるんだろう……?

そんな私たちの様子を知って、futashiba248さんが「草木染め体験も、やってみますか?」と言ってくださったことで、今回の体験が実現しました。

実は、茨城県土浦にある工房で、染物体験教室を開催しているおふたり(現在は新型コロナウィルスのためお休み)。観光客だけでなく、何かしら他のものづくりをしている作り手さんが興味を持って来ることも多いそう。今回は、大森、鈴木、ウィルソンの3人で工房に伺いました。

体験にかかる時間は、約2時間程度。染液や染めるハンカチなどはfutashiba248さんが用意してくださるので、本当に気軽に染め物体験ができます。futashiba248のおふたりに説明していただいた草木染めの手順は、以下のとおり。

1.染めるもの、模様を決める
2.水通しをする
3.染液に浸ける
4.色止め液に浸ける
5.水洗い
6.乾かす

「面倒くさいイメージがあると思うんですけど、そんなに難しい工程はないのでたくさんの人にやってみてほしい。ここでコツを掴めば、家でも簡単にできますよ」

心強い言葉をいただき、それでは、さっそく染め物体験スタートです!

性格が出る、模様づくり

染める前に、用意していただいた綿のハンカチ、と横にある大量の輪ゴムとビー玉に目を奪われた私たち。これは一体……?

輪ゴムで結んだところには染液が入らないので、白い線になるんです。それを利用して、簡単な模様をつけるのが最初の工程です」

なるほど。輪ゴムで結ぶだけでも線になるし、中にビー玉を入れて結ぶと、ちょっとダイヤのような円ができたりもする。裕子さんが見本を見せてくれながら説明してくれました。これはハンカチの個性を作る、重要な部分!

さまざまな大きさのビー玉を使いながら、思い思いに輪ゴムを結んでいきます。ここで、輪ゴムをしっかりとめないと染液が入り込み、きれいな模様になりません。窮屈にとめるのがポイントです!という将史さんの指導のもと、ガチガチに輪ゴムを結んでいきます。

ここで、メンバーの初動に少しバラつきがありました。先によく考えてから縛り始める鈴木、とりあえず手を動かす大森とウィルソン。これは性格が出る工程のようです。

「せっかく染めるなら、染まってる部分が多いほうがいい気がする」

「えー確かに!ちょっと外そうかな…」

考える鈴木、悩み出すウィルソン、ひたすら輪ゴムを止め続ける大森。

はしゃいでいたのも最初だけで、真剣になるにつれ、無言になっていく私たち。輪ゴムで結んでいるうちに、最終的にどんな模様になるのか想像できなくなってきます。最後に開いたときのお楽しみです。

<模様づくりのポイント!>
模様を出したいところは、しっかりときつく輪ゴムを結ぶこと。

しっかり水に馴染ませる、大事な「水通し」

模様を作り終わったところで、さっそく染液へ浸けたくなるところですが、futashiba248のおふたりから「待った」がかかりました。染液に入れる前にもうひとつ、大切な「水通し」という工程があるのです。

ただの水道水に生地をつけるだけなのですが、これをするのとしないのとでは、染液の染み込み方が違うそうです。よーく水が染み込み、生地の隅々まで行き渡ったら、軽く絞って、いよいよ染液へ。

<水通しのポイント!>
生地のすみずみまでしっかりと水が染み込むように浸けること。

不正解の色なんてない、草木染め

今回、futashiba248さんが用意してくださったのは「栗の皮」と「ブルーベリーの実」から煮出した染液です。普段の体験教室では、その季節の染液1種類を用意するそうですが、今回は特別に2種類から選ばせていただきました!

「飲めそう!」

見ると、たしかにブルーベリーはジュースのようだし、栗はスープのよう。農作物からこんなに濃厚な色が出るとは、驚きです。おいしそうな見た目に匂いを嗅いでみると、思ったよりは香りがなくほんのりと自然の香りがしました。

大森とウィルソンは渋めの栗を、鈴木は鮮やかなブルーベリーをチョイス。さあいよいよ「染め」の工程です。

昨晩、futashiba248のおふたりが煮出しておいてくれた染液に、すでに我が子のように思える大事なハンカチをゆっくりとつけていきます。寒かったこの日、ずっと手をつけていたくなるようなあたたかさです。水通しのときと同様、こちらも染液がしっかりと染み込むように丁寧にもんでいきます。

「下準備として、染液を煮出すのは少し時間はかかるけど、工程としては難しくないので自宅とかでも簡単にできますよ」

「染液だけを売ってたりは、しないんですかね…?」

家やオフィスでもやってみたいな、と思い始めた私たちがちょっとズボラな質問をしてみるも、それは難しいそう。自然のものを煮出した染液は長持ちしないため、毎回染める前に煮出す必要がある、とおふたりが教えてくれました。

長いもので栗の皮などは半日ほどコトコト煮込むんだそうです。そのあと、ちゃんと濾しておくのも、きれいに染めるための大事なポイントです。

実は以前、自宅で草木染めをしてみたことがあるウィルソン。「思ったような色にならなくて、失敗しました」というと、futashiba248のおふたりがやさしく言いました。

「でも、それも正解ですよね。不正解な色っていうのはないですから」

たしかに、好みの色と少し違ったとしてもそれが間違いではない。そんな余白のある草木染めがますます好きになり、もう一度家でチャレンジしてみたいと思えたのでした。

「草木染めは、化学繊維に比べるとやっぱりムラは出ます。でも、それも草木染めの良さと捉えてもらえれば嬉しいですね」

お喋りしながらだと、15分ほどもんでいた時間があっという間。たしかに染液を煮出すのさえ終わっていれば、染める工程自体はそんなに時間がかからずに染められました。

「つける時間が長くなると濃くなるんですが、ある一定の時間を超えると変わらなくなります。色を濃くしたいときは2度染めなどもしますよ」

草木染め、奥深い!おふたりの話を聞きながら、いろいろ試してみたくなりました。

<染めのポイント!>
染液を煮出す時は、コトコトじっくり。しっかり濾すのが大事。
染液が定着するようにしっかりと揉むこと。
どんな色になっても、不正解ではないのだと楽しむこと!

最後の仕上げ、色止め

染めの工程が終わったら、最後の仕上げ「色止め」です。これは、鉄やアルミなどを液体にしたものを混ぜた水に、染めた生地をつけていく工程です。こちらも液体がすみずみまでいきわたるように、揺らしたり、揉んだりを繰り返します。

futashiba248さんいわく、鉄の場合は少し渋い色合いに、アルミなら明るめの色合いになるそうです。この日、お二人が着ていた服も同じ栗の皮で染めたものでしたが、将史さんのほうは渋い焦げ茶、裕子さんは明るい茶色でまったく違う色に仕上がっていました。

今回用意していただいたのは、アルミを溶かしたもの。しっかり染まったハンカチをひたした途端、ふわあっと余分な染色が溶け出していきます。栗は焦げ茶から明るいオレンジのような茶色、ブルーベリーはきれいな紫になっていきました。

こちらも15分くらいかけて、丁寧にすすいでいきます。この色止めしても、やはりだんだん色落ちはしてきてしまうそう。ただ、そんな経年変化も、この工程を経てみると愛おしい気がします。

長持ちさせるコツは、中性洗剤で手洗いすること。洗剤の成分に反応して色が変わってしまうこともあるので注意が必要です。「そうやって色が変わるのを、楽しめる人もいるかもしれないけどね」と、将史さんは言っていましたが、なるべく作家さんが染めた色のままで長持ちさせたいですね。

<色止めのポイント!>
こちらも生地に行き渡るように丁寧に揉むこと。

草木染めの可能性とあたたかみを感じて

色止めが終わったら、しっかり水洗い。色が落ちなくなったら、ついに輪ゴムを外すときです。

「ちゃんと線が出てる!」「こんな模様になるとは~!」

白い線がくっきりと浮かび上がるのを見て、テンションが上がる私たち。同じビー玉と輪ゴムを使っても、模様はさまざまです。あとは、これを乾かせば草木染めハンカチの完成!

「これで、みなさんも染色家ですね」

将史さんに嬉しい一言をいただき、私たちの染め物体験は無事に終了しました。将史さん、裕子さん、本当にありがとうございました!

栗の皮やメロンの葉、りんごの木やブルーベリーなどの農作物から、一体どれだけ色が出るんだろうと体験に臨んだ今回の染め物体験。驚いたのは、その色の鮮やかさと濃さでした。

こんなにきれいな色に染まるのに、捨てちゃうのはもったいない!と、染めながら何度も思うほど、可能性が詰まったものだったのです。自然にあるもので、さまざまな色を表現し、肌にも優しい草木染めをもっと知りたいと思う2時間でした。

今度は、オフィスで他のメンバーも一緒に、草木染めがしたい!それぞれ汚れてしまった白い服やタオルを持ち寄ってもいいかもしれない。そんな会話をしながら帰った私たちは、もうすっかり草木染めの虜になったのでした。


futashiba248さんが主催する草木染め体験の情報は、こちらからどうぞ!
※現在は、新型コロナウィルスの影響によりお休みしています。状況については、随時ご確認ください。

futashiba248のおふたりが、今のように農業廃棄物で染め物を始めたきっかけなどを伺ったインタビュー記事はこちら。
「知らなかった」魅力を色にして茨城農家の廃材をつかう草木染め作家

今回のハンカチと同じ、栗の皮で染めたマスクはこちら!和紙繊維を使用し、環境にも肌にもやさしい商品です。

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