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竜が引っ越した下北沢―下北沢と井の頭にまつわる民話

多くの人に愛されるカルチャータウン「下北沢」。本記事で紹介した戦中・戦後よりもっと昔のお話、街に伝わる民話と「北澤八幡神社」の由来をご紹介します。

 

 

下北沢に「池」が無いのは、竜が引っ越したから。

 

 

‐北澤八幡神社は、年号「文明」(1469~87)年間、吉良家によって創建されたとホームページでは書かれていますね。

 

はい。ただ、この神社が「北澤八幡神社」と称して八幡様を祀る以前には、竜神様を祀っていたんじゃないかと考えています。人が移り住むと村が出来る、村ができるとまずは自分たちを守ってもらうため氏神様を祀る神社を作る。当時は稲作でしたから、稲作には水が欠かせないので、水の神様の竜神様を祀る神社だったんじゃないかと考えています。

 

‐竜神様を祀っていた神社が北澤八幡神社の前身ということですか?

 

そう考えています。というのも、竜がお引越しをする民話があります。

上北沢村のお百姓さんが下北沢村へ馬を引っ張って来ていた、そして仕事を終えて上北沢村へ帰ろうとしたら綺麗なお姫様が現れて、「井の頭へ乗せていってくれないか?」と。昔は、下北沢から上北沢も井の頭も遠くないと思っていますから、「良いですよ」と連れて行くんです。そして「井の頭の池の近くで降ろしてください」と頼むので、降ろしたところ、御礼にお金をくれた。さらに「絶対に後ろを振り向かないで帰ってください」と。

 

‐では、振り向いてしまったんですね?

 

はい。お百姓さんもそう言われて、振り返りました。そしたら綺麗な美女が大きな竜となって井の頭の池に沈んでいくところでした。それ以来、下北沢の方の池は枯れてしまって、今でも井の頭の池は満々とお水をたたえている、との伝説があります。だから、竜神様を祀っていた神社が、「文明」年間のときに八幡様を祀るようになったんじゃないかと思うんです。

 

‐では、ここが竜神様から八幡様を祀るようになった経緯を伺えますか?

 

竜神様はたぶん村の人たちが祀ろうよと言って祀った神様ですね。

ただ、「文明」年間のとき、この辺りには吉良(きら)さんというお殿様がいて、吉良家が鎌倉鶴岡八幡宮からお御霊をこちらへ移して祀れ、と命令を出したんですね。

 

‐どうしてわざわざ鎌倉鶴岡八幡宮からお御霊を移されたのでしょうか?

 

吉良家というのは源氏なんです。源氏の一族の守り神が八幡様なんです。

それに吉良家は豪徳寺の隣の世田谷城(今は世田谷城址公園)のお殿様でした。そこからここをみると、ちょうど鬼門に当たるんです。鬼門に当たるので、源氏の一族のお殿様の命令だから、竜神様は横に置いといて、八幡様を中心にしようと。

 

‐「北澤八幡神社」という名前も、世田谷城から見た時に北に位置するからですか?

 

そうです、ちょうどここが東北だったんです。世田谷郷の中心からみて北にある沢、だから「北澤」という名前なんですよ。

 

 

 

その後、戦時を迎える下北沢と「北澤八幡神社」はどのような経緯を辿て、下北沢の守護神となったのでしょうか?

1923年の関東大震災まで時を進めて、始まるお話はこちらからどうぞ。