北海道出身、2012年6月位シングル『feel you』でデビューしたシンガーソングライターの住岡梨奈さん。いわゆる「ギター女子」のひとりですが、デビュー1年後にリアリティテレビ番組『テラスハウス』にも出演し、その存在感を示しました。

その住岡さん、今年2月に26歳になったことをきっかけに全国26か所でツアーを行いました。それまでは地元の北海道と東名阪でしかライブを行っていなかった住岡さんにとっては、スタッフやメンバーとの長期間に渡る車移動や初めて訪れた場所でのカフェライブなど初めて尽くしの26公演。

新しい作品へのインスピレーションにもつながったこのツアーでの経験について、お話を聞きました。

橋場 了吾
1975年、北海道札幌市生まれ。 2008年、株式会社アールアンドアールを設立。音楽・観光を中心にさまざまなインタビュー取材・ライティングを手掛ける。 音楽情報WEBマガジン「REAL MUSIC NAKED」編集長、アコースティック音楽イベント「REAL MUSIC VILLAGE」主宰。

26か所を車で回りミュージシャンとしての自信がついた

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‐今年は2月に全国ツアーがありましたね。

このツアーはこれまでの最長記録ですね。今年26歳になったので、26本やろうということでカフェツアーを企画しました。

『Music Wagon 26』というツアータイトル通り、マネージャーが運転する車で回ったんですが、体にも堪えますしメンタルも鍛えられました。

‐バンドミュージシャンのような経験ができたんですね。

福岡まで車で移動というのはこれまでもあったんですが、今回ほど細かく車で回ったのは初めての経験でした。

北海道は7か所回りまして、10日間ほどあるので荷物は多くなりますし、ホテルの洗濯機を初めて利用したり。車に洗剤が乗っているのが日常でした(笑)。

ずっと一緒のメンバーで曲を作ってライブをやっている「バンドっていいな」と憧れてきたので、一緒にいる人たちと作り上げてお客さんと共有するのが私の形なのかなと感じました。

‐「旅をしながらのライブ」を実感したんじゃないですか?

サポートミュージシャンとマネージャーと私の3人で回ったんですが、人と長い時間一緒にいるのは意外に大変だなと思ったりしながら(笑)、どの場所でもしっかりライブに向けて仕上げていくというのは凄い自信になりましたね。

 行く場所にお客さんがいる…会いに来てくれたことに感謝

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‐慣れ親しんだ場所だけではなく、新しい場所でのライブは刺激的だったんじゃないですか?

初めて行く場所にお客さんがいてくれる……それが不思議な感覚でした。その場所その場所に「私を見たい」「私の歌を聴きたい」と思って会いに来てくれることにずっと感激していました。

‐リアルで出会うことがライブの醍醐味ですもんね。

それと、それぞれの場所で強い地元愛に触れたんです。カフェの常連さんも「あれ、今日何やってるの?」という気軽な感じで聴いてくれたのも嬉しくて、自分の曲を届けられた実感が湧きました。

‐過去にはテレビ番組にもレギュラーで出演されていましたから、今年ほど音楽にどっぷりだった年はなかったですよね。

たしかに(笑)。2月から3か月間のツアーがあって、そのあとはずっと曲作り・レコーディングをしていました。

12月7日にアルバム『心が君を歌ってる』が出て…本当にずっと歌って作ってという感じでしたね。

‐4月にはミニアルバム『Moment』もリリースされています。

実はミニアルバムはリリースの予定がなかったんですが、26本のツアーをしている最中に『今しか録れない音楽があるんじゃないか』ということで急遽決まったんです。

ライブで披露した曲をレコーディングするということも、初めての経験でした。これまではレコーディングをしてからライブで新曲を披露するという流れだったので。

ミニアルバムだけでなく、アルバムにもツアー中にできた楽曲が収録されていますので、26本のツアーがあったからこその作品だなと思います。

 

『心が君を歌ってる』のコンセプトは「人と人とのつながり」

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‐先日リリースされたアルバムのタイトル『心が君を歌ってる』はどのタイミングで決まったんですか?

コンセプトは「人と人とのつながり」なんですが、そのコンセプトをイメージしながらアルバムを作りたいなとは思っていました。

正式にタイトルがついたのは、たしか全曲が揃ってからだったと思います。何か「温かいもの」「人肌」「温度」をキーワードに試行錯誤していて、シンプルで伝わる言葉を探していて、このタイトルになりました。

‐心が主語になっているので、ハートウォーミングな印象を受けました。

自分が曲を作るときは誰かを思いながら作っていますし、歌っているときも目の前にいる方や友達、家族を思いながら歌っているので、心が歌っているから気持ちを込められるという思いを込めました。

聴いてくれた人の心が誰かを想ったときに、これらの曲は「私だけのもの」ではなく「その人のもの」になるので、曲がどんどん成長していってほしいなと思います。

‐来年1月・2月は全国7か所のバンドツアーも決まっていますね。

ツアータイトルは『心は君と歌ってる』…アルバムタイトルと助詞が変わります。

心は、聴いてくれている皆さんと一緒に歌っているよ、という気持ちでこのタイトルにしました。ライブでは精一杯あなたに向けて歌いますので、ぜひぜひ遊びに来てください!

 


【取材を終えて】

住岡梨奈さんが、ミュージシャンとしての自己を確立しつつあります。

デビューして丸4年が経とうとしているタイミングで行われた、26か所の全国ツアー。このツアーで初めてライブをする場所もあり、ライブの在り方というものを強く感じたそう。そのライブの在り方…人と人とが触れ合う暖かみが凝縮されている1枚が、12月7日にリリースされたアルバム『心が君を歌ってる』です。

これまでにないダンサブルな曲あり、情感たっぷりのバラードあり、ポカポカの暖炉のようなハートウォーミングな曲あり…音楽漬けだった2016年の最後を締めくくるにふさわしい作品となりました。

やはりミュージシャンは、ライブで歌ってナンボという部分があります。住岡さんがこの境地に達した今、来年初頭に開催される全国ツアーはこれまで以上に住岡さんの音楽から暖かさを感じられることでしょう

 

【ライター・橋場了吾】

北海道札幌市出身・在住。同志社大学法学部政治学科卒業後、札幌テレビ放送株式会社へ入社。STVラジオのディレクターを経て株式会社アールアンドアールを創立、SAPPORO MUSIC NAKED(現 REAL MUSIC NAKED)を開設。現在までに500組以上のミュージシャンにインタビューを実施。 北海道観光マスター資格保持者、ニュース・観光サイトやコンテンツマーケティングのライティングも行う。