岡山 史興
70Seeds編集長。「できごとのじぶんごと化」をミッションに、世の中のさまざまな「編集」に取り組んでいます。

2017年8月29日、70seedsが参画する新しい取り組み「できる.agri 」プロジェクトがスタートしました。

 

このプロジェクトは、全国の農家さんや新規就農を志す方々に向けて、IT農業の可能性を伝えていく取り組みです。オンラインでは、生産から販売までITを活用した様々な挑戦に取り組んでいる方々のストーリーを紹介するウェブサイト「できる.agri」をオープン。さらに、オフラインでは彼らとの事例紹介・農業相談キャラバンを全国で展開していく予定です。

 

70seedsは発起人の一社として、企画・運営を担当。これまで培ってきた「編集」の力で全国の農家の方々にとって価値のあるコンテンツや場をつくり、届けていきます。

 

この記事ではすこしだけ、このプロジェクトにかける70seeds編集部の想いや経緯をご紹介したいと思います。

 


 

農業に本当に貢献できることを、一社ではできない力で。

 

日本の根幹を支える農業が今、危機に瀕しています。

 

70seedsではこれまで多くの生産者の方々への取材を重ねてきましたが、その中で、食と地域社会のつながりの深さを目の当たりにすることが数多くありました。

 

豪雪限界集落、区長の本音-「子どもに帰ってこいとは言えない」まちに起きたこと

ブレイクダンサー、農家になる。自然の中で見つけた「ちょうど良い距離感」

「野菜提案企業」って、なに?-京都・坂ノ途中が挑む“100年先も続く農業”

元東京のエンジニア、長岡の「移住女子」が語る「地方の仕事のつくりかた」

 

取材による出会いの中で、編集部は日本の農業に対して何か力になることはできないか、と考えるようになっていきました。

 

そんな折に訪れたのが、ITの力で農業を進化させようと取り組む株式会社ルートレック・ネットワークスとの出会い。これまで経験や勘に頼ってきた「水やり」や「肥料やり」をセンサーとデータ解析の力で自動化するソリューションを開発・提供している企業で、今回のプロジェクトのメイン出資者でもあります。

 

本当に農家さんが求めていることを提供したい、でも企業側としても事業活動を通じて貢献できなければ意味がない。そんな想いを実現するために、企業が一社でできることには限界がある。

 

そんな議論を重ねる中、この想いを形にするためのひとつの方向性が生まれました。それが、分野や立場を超え同じ志の仲間を集めて「ITで農業を元気にする」プロジェクトを立ち上げよう、というもの。

 

こうして「できる.agri 」プロジェクトが動き出していきました。

 

 

 

 

「地域社会のインフラ」としての農業を、次の世代へ

 

プロジェクトの立ち上げにあたって、まず取り組んだのは農家の方々への取材でした。IT農業と一口にいっても、ビニールハウス内の温度管理からインターネットを通じた販売までさまざま。編集部は農家の方々のリアルな取り組みを知るべく、記事にならなかった農家さんも含め、数々の現場へ足を運びました。

 

その中でだんだんと理解していったのは、農業の役割はただ食糧を生産することだけではなく、地域社会の成立に深くかかわっているということでした。農家同士の助け合いや、農家とそれ以外の仕事に就く方々との役割分担、そういった中で食や習わしをはじめとした地域の文化や伝統が生まれ、農協などの有形無形のインフラが形成されていった。

 

いいかえると、農家の高齢化や担い手不足が進むことは、地域社会が衰退していくことと密接にかかわっているということ。

 

そんな現状に対して、新しい技術やサービスを使って挑戦する若い農家の方々がいる、ということは地域にとっても希望なのだということ。

 

そこから私たちは、農業において「ITの力でできること」をもっともっと広げて届けていくため、IoTからクラウドファンディングまで、さまざまな企業の方々にプロジェクトへの参加を呼び掛けていきました。

 

それは、次の世代へ新しい「地域社会のインフラ」をつくっていくことだと、私たちは考えています。

 

 

 

 

賛同者、ご協力者を募集しています!

 

そんな「できる.agri」プロジェクトはまだスタートしたばかり。志を同じくして、一緒に取り組んでいただける企業・団体・自治体の方々を広く募集しています。

 

ぜひ、できる.agriのウェブサイトからお問合せください。また、70seeds上では、このプロジェクトと連動した、特別記事も展開していきますので、ぜひお楽しみに!

 

 

(写真:8月29日に公開された「できる.agri」プロジェクトサイト)