70seeds、大槌食べる通信をモデレーターにゲストのお話をお送りするイベントの第3弾。今回は、シャプラニールの長瀬桃子さんをお迎えし、「買い物で世界を変える方法」をテーマに、シャプラニールのプロジェクトの一つである「クラフトリンク」が実施しているフェアトレードの実態に迫りました。
プロジェクトの面白さ、頑張り、社会的価値を適切な価格で販売する・・・70seedsも同じ思いでメディアを運営し、ストアを開設したという経緯もあり、今回トークセッションを開催しました。
今回はその模様をお送りします。
今回の登壇者
モデレーター
70seeds編集長:岡山
編集長について知りたい方はかわらばんでのインタビューをどうぞ。
大槌食べる通信編集長:吉野和也さん
吉野さんの記事はこちらへどうぞ
この二人がモデレーターを務める企画は、今回で3回目になります。
過去2回の様子はこちらから
東京の真ん中で語られた「地方でお金を生む方法」 -tabelと考えるローカルの未来@無印良品レポート
地域で生きるには「まず挨拶」-『ソトコト』『大槌食べる通信』両編集長と語る「ローカル処世術」
ゲスト
シャプラニール クラフトリンク部門 長瀬桃子さん
長瀬さんにインタビューした記事は最近公開しましたのでぜひご一読ください!
今回のレポート記事では、イベント後半で繰り広げられた、会場とのトークセッションの模様を抜粋してお伝えします。
地道な活動が紡いだ45年
前半で長瀬さんから展開された、シャプラニール45年分のエピソード。その中でも特に質問が集中したのは、やはり「事業」に関すること。
会場:現地でものを作るための資金はどのようにして集めたんですか?
長瀬:これはもう地道な活動によるものですね!シャプラニールにいる3000人のサポーターの皆様の支援はもちろん、日本全国各地にあるフェアトレードショップで商品を取り扱てもらったり、イベントで販売をしたり・・・そんなふうにして資金を集めています。
会場:フェアトレードは現地のマーケットにどんな影響を及ぼしますか?
岡山:フェアトレードの商品が売れることで現地のマーケットが活発になったり、いろんな変化があるのかなぁと思うのですが、これはどうでしょうか。
長瀬:私たちの商品は現地では売られていないので、マーケットへの直接の影響はないですね。ただ、製品を作っていく過程で、技術を身に着けていく中で、いちいちマーケットで買わなくとも自分で作ることができるんだ、と現地の人が自立していくということはありました。
石けんを自分で作ったりとか。そういった意味では多少マーケットに影響を与えているのかもしれません。
活動から見えるバングラデシュの現状
会場:バングラデシュやネパールではお金が無くて働かざるを得ない子供はどれくらいいるんでしょうか。
長瀬:バングラデシュの就学率は90%と結構高いんですが、卒業するのがそのうちの70%位なんですね。
それはやはり貧困が原因で学費が払えなかったり、家の手伝いに追われて勉強についていけなくなってしまったりとか…そういう現状はありますね。
岡山:ちなみに卒業できた70%の就職先はしっかり決まっているものなのでしょうか?
長瀬:学歴によりますね。大学に進学するような高学歴の子たちはあまり国内にいる事は少なくて、海外で仕事をして、いろんなノウハウをバングラデシュに持ち帰ってくるという子はたくさんいます。
会場:バングラデシュの女性には活躍する場、自由な場があるのでしょうか。
長瀬:私個人の実感としては、少しずつ自由な場ができてきたんじゃないかな、と思っています。今までは女性は家の外にも出れないし、買い物も女性だけでは行けないような状況があったんですが、今ではそれも少しずつ変わってきています。何が幸せかと言われると、それは人それぞれなのでわかりませんが・・・
会場:シャプラニールの活動は日本に与える影響ってどんなことでしょうか。
長瀬:やはり45年も活動を続けてこられたのは、活動の必要性を様々な人に共感していただいたからではないかなと思っています。
また、私たちはバングラデシュとネパールの2か所に現地の事務所を持っているので、現地の声を素早く日本の皆様に伝えて理解してもらうことができるのは強みなのではないかなぁと思っています。
こういった場に呼んでいただけるというのもすごくありがたいですし、これからもこういった地道な活動を続けていきたいと思っています。
実は、最初にこのトークセッションを開催することを聞いたとき、私(丸山)は「ローカル(吉野さん)と海外NGO(長瀬さん)にどんな関係があるの?」とイベントの意義に懐疑的でした。
ですが、当日長瀬さんの話を聞いていく中でその疑念は晴れていきました。
大槌食べる通信とシャプラニールは
外からやってきた「余所者」が魅力を発見し、外部へ発信するという点。
70seedsとシャプラニールでは
今まで見つけられてこなかったものへの正しい価値を発信するという点
そんな共通点に気づき、共感していったからです。
最後に、人が取り組む「活動の価値」を適切に伝えていくために、長瀬さんが残してくれた言葉をご紹介します。
「フェアトレードは単なるお金の換金では無くて、現地の皆さんと話すことによって彼らのことをより理解したり、彼らの違ったストーリーに共感したり、悩んだりしながら進めていくものだと思っています。
なので、私たちがモノを作ってもらう、彼らはただ物を作る、という関係ではなくて、顔と顔を会える環境にいることを生かして、彼女たちの想いを伝えることを、彼女たちの商品を通して伝えることができればと思っています。」
私たち70seedsは「価値が正しく伝わる世の中にする」という想いから始まったメディア。その思いをもう一度再認識し初心に返らせてくれる、そんな長瀬さんの言葉でした。
私の胸にもそんな思いを残しつつ、このイベントは幕を閉じました。来場してくださった皆様、本当にありがとうございました!
先出し情報。
「70seeds」 × 「大槌食べる通信」のトークイベント第4弾の開催が決定しました!
次回のゲストは株式会社結わえる代表の荻野芳隆さん。
以前インタビューでも取り上げました。
「食を通して失われた日本の文化を取り戻したい」と力強く語ってもらったこの記事は、「売るための情報」にコントロールされがちな現代人にぜひ読んでほしい一本です。
今回はそんな荻野さんを交えて、食を入り口に「無理なく生活を変える方法」を聞いていく予定です。
イベントの詳細決まりましたら、またメディア上でお知らせさせていただきます。
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