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【連載③】戦争の記憶図書館-「この世かね、あの世かね…」

みなさんこんにちは、70seedsのしのです!

 

さて今回も前回に引き続き河内光子さんのお話、河内さんが被爆した日のことについてお伝えします。

 

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前回までの話はコチラ⇨【第2回】

 

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【登場人物】

私:しの

河内:河内光子さん

恵:しのの祖母

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河内さんが持って来てくださったお菓子をもぐもぐと食べながら河内さん、祖父母と4人で祖母の被爆証言のDVDを流しながら談笑していました。

被爆証言を見ながら談笑なんてなんだか不謹慎な気がしますか?

 

私は5年前に起こった東北大震災で被災した漁師さんが、その後飲みの場で歌っていたという曲の名前を聞いてつい驚いて吹き出してしまったのを覚えています。

何だったと思いますか?

 

TSUNAMI(サザンオールスターズ)

 

辛かった経験をバネに笑えるのもきっと人間だけでしょうね。

 

ガンの話

 

五日市高校の生徒が作成したDVDで祖母の証言がカットされているものの中に、生き残った祖母の家族全員がガンで亡くなり、祖母も数年前にすい臓ガンの手術を受けたというものがあります。

 

河内「滅多に治らんのに…奥さんはね、語り部になる運命があるのよ。」

 

恵「最近ね、本当に使命じゃと思うんよ。私たち、語らんといけんのよ、生かしてもろうとるんじゃけえ。」

 

私「河内さんのあの日は何しよっちゃったん?」

 

ん〜〜〜

 

と首を傾げた後、河内さんは祖母の方を見ました。

 

 

被爆した日の話

 

河内さん被爆したのは千田町の貯金局でした。

 

 

「B29は朝来たでしょう。」

 

ええ、と頷く祖母。

 

「きれいな綺麗〜〜〜〜な銀色、電鉄のうえをダーーーっと行くの。

音がほどんどせんような。

今日のはどしたん、お化粧したような綺麗な色。

きれいなでした、キラキラ光ってました。

雲ひとつない晴天でした。

 

うわぁ、と貯金局の二階の窓から眺めてました。」

 

目を見開いて上を見る仕草をする河内さん。

 

 

恵「見とった人が多かったですね。それで顔をやられて。」

 

河内「それがね、じゃけどそのちょっと前に先輩が声をかけてくれたんです。

——————いつまでも見とってもだめじゃけえ、今日もまた見に来ただけなんじゃけえ。ほっといてから仕事しよ。

と、先輩が言うけえ

 

「はい!」

 

って電停の方を向いていたのに奥に入って、フダ、ノートのようなものを書かないといけない。出してそれの書き方をどうじゃったかなと眺めてとると

また先輩が

—————知らんから説明するよ。

と来てくれました。

 

「ほいじゃあ」

 

と言ったときに

3

 

ブワッ

 

っと窓いっぱいの火の玉が入ってきて

 

「来たーーーーーっ!!!」

 

と思った。

電鉄に爆弾が落ちたと思ったんです。

 

そのまま

 

 

ふわっ

 

 

とまわりの書類と一緒に浮き上がったかと思うと、もう意識がないんです。

だから痛くもかゆくもありませんでした。

 

 

 

それからしばらくしたら真っ暗。

上見ても横見ても真っ暗なんです。

私、生きとるんかどうか確かめたくて触ったら足…繋いどら(繋がってる)、思うて。

手もついとる。

 

「この世かね、あの世かね…」

と独り言を言いながら起きて。

 

「だれかおる?」

 

そしたらあちこちから

 

「生きとるよ」

という声が聞こえてきました。

 

「ここはこの世?」

と聞くと

 

「当たり前よ、あの世じゃないわいね」

と誰かが言いました。

 

「お母ちゃーーーーーん!!!!」

とまた泣き出す声も聞こえました。

 

お母ちゃん云うても、うちのお母ちゃんは昔死んで

今は育ての親じゃし…

泣いとる暇もないし…

 

ごそごそ這(ほ)うて

 

「みんな逃げるんよー!!」

という声に

 

「うん!」

と答えてまた這うた。

 

そしたら明るいじゃない…!

見たら中2階に出たんです。

 

そこから下に降りようと思ったら、その下で朝一緒にまりつきした小使さんの子供がドブ(内臓)出して死んどる

 

 

「うわあああああっ」

 

 

みんなドブを踏んで滑りよるけえ、こりゃ踏んじゃいけんと思って。

 

「お姉ちゃんまりつきしょ」

 

言うてきて、一緒に遊んだ子なんです。

その子が寝とるように血を出して横たわって。

 

(うわあ、あの子今朝まりつきした子じゃ)

と思うたら涙が出て…。

 

「ごめんね!」

言うてそこから離れました。

 

そのお母さんがどうなっちゃったんじゃろう。

「お母ちゃん」

言いよったから。

 

それで中二階の窓から下を見ると小遣いさんが今朝干した畳があるんです。

ちょうど今朝畳がえがしてあって。

畳めがけて飛び降りようと窓の淵に上がって…これがクラスで一番ドベなのに。

淵に腰掛けたらズドンとそのまま落ちたんです。」

 

 

→続く 【第4回】父の腕の皮を剥いだ私(8/3公開予定)