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【連載⑤】戦争の記憶図書館-やんちゃな広島の男たち

こんにちは、70seedsのしのです!

 

前回は河内さんの写真の真相をピースボランティアされている坂本さんを交えて時に真剣に、時に昭和のこぼれ話に笑いながら…そんな雰囲気のお話です。

 

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【登場人物】

私:しの

河内:河内光子さん

恵:しのの祖母

坂本:ピースボランティアさん

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前回までの話はコチラ→【第4回】

 


 

あんたを映す気は無くて、その情景を撮ろう思うたんじゃ」

 

ピンポーン

 

その時玄関のチャイムがなり、平和資料館のピースボランティアをしてらっしゃる坂本さんが来られました。

 

坂本:さっき研修会が終わったんですよ。遅くなりました。

 

坂本さんは福岡出身の方で、広島の原爆に興味を持って数年前から主に広島に来た外国人観光客へ英語でガイドをするボランティアをしています。

その資料の中にもこの写真があり、とても本人に会いたかったということです。

まさにその写真の話をしていたので丁度よかった。

 

私:一回河内さんの家に集まって避難したんよね、何で河内さんの家じゃったんですか。

 

河内:うちは商売やっとったから人が集まるのにちょうどよかったんでしょう。

 

そう言って写真の人物を指さしました。

 

河内:この横のは同級生。息子がX大学入ったから絶対に言わんとってくれって。

向こうで結婚や就職するのの親が被爆者っていうのが知られたらマイナスになるから。って。

 

私:なぜあの日御幸橋に集まったんですか?

 

恵:避難証明を書きよったんよ、フジタボディの社長さんがね。だからみんなそこに集まるわけよ。

 

河内:火傷した人なんかいっぱいおったんですよ。

 

恵:そこまで来て力尽きた人とかね。そういう人たちが固まったわけ。

 

河内:ほいじゃけど寝とる人にまで手当はしてんなかったですね。

 

恵:軽い人と、もう死ぬるいう人には手当せんの。

 

坂本:坪井さんの話では男の子はトラックに乗せるけど女の子は容態が悪いのは乗せんのじゃそうなね。男の子は治療したら使い物になるけえ。

 

坪井さんというのは本名、坪井直さん。同じ写真の中に写っている男性で、現在は広島県原水爆被害者団体協議会の理事長など原爆に対する活動を精力的に行っている方です。

 

河内:橋の欄干がね、なかったんです、落ちて。何の欄干が写っとるけえ何でって言ったら、向こう側は落ちとるようなんです。奥に写っている建物は警察の派出所。

写真に写っているクツキアキラくんという少年、この時は記憶がないけど、この後消息を絶ったらしく、どこかで死んだのだと思います。

 

目の前には赤ん坊を抱いた人が若い女の人がいて

「起きてえや!起きてえや!」

と気が狂ったようにあやすように揺らしならが叫んでましたね。

 

私:お母さんだったんですか?

 

河内:短いブルマを履いていたましたからね。お母さんはあんな恰好はしませんから、きょうだいでしょうね。」

 

 

  • フジタボディっていうのは?

 

話を聞いていると時々耳慣れない言葉が出てくるので私はその都度質問を入れます。

 

河内:自動車の上を作る会社。カワグチいうところから下だけの車を運転してくるんです。側がないんですよ。

で、フジタボディに持っていくと上をつけるんです。バスになったりトラックになったり。私途中で車の会社に変更したから。

そのバス第一号にうちの部長が乗ったんですよ、女の子連れて。

そしたら宇品で警察に捕まって。

 

ピーッ

 

と笛鳴らされて。

 

私:どうして?

 

河内:運転が下手じゃったけえでしょう。

(警察)「免許証は!」

言われて

「へい。」

って出した免許書が私の課の課長のK谷(Kちゃん)の免許証じゃったん。

 

(警察)「あんたと顔が違うじゃない」

「ほうですか?メガネのけたら似とるでしょう」

 (警察)「似とらん!」

とうとうバレて…今県民文化があるところに昔あった西警察署に連れて行かれて絞られて。

 

それを聞いて次は部長が飛んで行って、警察に先輩がおったから

(部長)「頼むわ、あいつうちの社員じゃが仕事ができるけえ許しちゃってくれ〜!二度とささんけえ」

いうて菓子折りを持って行ってやっと解放されて帰ってきたんです。

「えらい目に遭うたで。Kちゃん、あんた わしに似とらんけえ、やられたわい」

(部長)「ええ加減にしんさい!」

 

言うたの覚えとる。

 

 

  • 昼休みの川遊び

 

河内:昼休みはみんなね、相生橋の下に泳ぎに行くんよ。そしたら川から上がる時にはパンツがないわけ。

 

私:何で?

 

河内:ピストンで泳いどるけえ。

フンドシで泳いどるけえ、上がるときぴしゃぴしゃに濡れとるけえ、履きとうない。でもパンツ持ってきとらんの。おフリでズボン履いて会社に帰ってきて

 

「みっちゃんや、パンツ買うてきてくれい」

(みっちゃん)「うち銀行いかんといけんのにから」

「ああ言わずに」

(みっちゃん)「お金は」

「あんたが出してくれ」

(みっちゃん)「うち無い!」

いうて。

 

ほしたら部長さんがお金を出してくれて

(部長)「ほいじゃあ後返せよ」

「ハイ」

って。

 

ほいたら買うたのはええが、

(部長)「これ履きんさい、あっこの宿直室よ。」

いうたら

「わかっとる、ここで履きゃあせん」

 

(宿直室の中の人)「…ところでこのフンドシ洗うてくれえ」

 

「イヤー!!」

 
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そしたらピストンのおばちゃんが洗うて干してずらっと並んどるんですよ。

それをどこ干したと思う?

アンデルセンがあるでしょ?その裏が(被爆で)ぐちゃぐちゃんなっとったんですよ、それに干すんです。

 

夕方になって

「あれ持って帰って来てくれん?」

いうけえ持って帰って

「これ誰の?」

いうたらみんな知らん知らん知らん

私は何をしに会社行きよるのかしら思いました。

 

 

→続く【第6回】炭になった母親の幽霊