こんにちは、70seedsのしのです!

 

私がひょんなことからお話を聞くことになった、とある被爆者、河内光子さんのお話を届ける連載も今回で4回目となりました。

 

被爆後、街は、人はどうなったのでしょうか・・・?

 

前回までの話はコチラ→【第3回】

 


 

【登場人物】

私:しの

河内:河内光子さん

恵:しのの祖母

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河内:

ドスン!

「痛かった痛かった。」

結局窓から飛び降りてお尻を強く打ったのが痛くて泣いてたんですよ。

ほしたら男の人が2人出とりました。

 

「おいあんたら学生じゃろう。どしたんや」

「はい、痛いんですお尻が」

「蹴ったろうか。ほしたら痛うなくなるで」

 

ぶんぶんっ

 

必死に首を振って立ち上がって、避難の道につきました。

女の人はみんな泣きながら出てきてましたね。

 

私:そんときはまだそんな冗談言う余裕があったんじゃね。

 

河内:そうですねえ。そこは貯筋局で一階と二階の間に原簿庫っていうところがあって、それを中学生がやっとりました。

 

あとは専売局に行きました。

タバコの匂いが臭うて臭うて気分が悪くなる。

でもあそこに行くとタバコが1日1本もらえるんです。

 

「よそ行かんでええけ、あっこいけ」

 

父が言うんです、タバコが欲しくて。

 

恵:そうね、黒板に書いてあったね。何日から何人何処何処よってね。被覆廠行ったらモールのくちゃくちゃ担ったようなのを溶かしてまた服を作るんよ

 

河内:わたしゃ知らん、クラスが違ったんですね。私は「た」組でした。

 

恵:私は「け」組でした。

 

私:何その「た」組、「け」組って云うんは。いろはにほへと?

 

恵:歌の「トリナクコエ ユメサマセ ミヨ アケワタル ヒンガシノソラ」の最後の部分がそうなんよ。

 

私:面白い決め方するねえ。

 

恵:それが普通じゃと思っとったから、特に何も思わず使っとったね。

 

河内:あら、おたく「け」組?け組の人は綺麗で頭のええ人が多かったって聞くけどね。

 

今の顔を見比べてお互いに笑いました。

 

 

父親の合流

 

河内:大工だった父親は長袖だったにもかかわらず左半身をひどく焼いてました。

お父さんと避難するために手首を引っ張った時のこと。

 

「お父さん逃げようわあああああ!!!!!!」

手首を持ったら肩の方から皮膚がずるりと全部剥けたんです。

 

「どしたんね!」

「お前が引っ張ったけえよ」

 

私:そんなにずるっと剥けるものなんですか?

 

河内:魚を焼いたらたまに網にひっついてずるっと皮が剥けるでしょう。ああいった感じ。

 

記憶図書館4-1

それで中はベチャベチャのずるずるで。

 

恵:爪のところで引っかかる人を多く見ましたね。父は引っかからずに全部剥けましたね。髪はパーマが逆立ちしとって、灰色。灰をかぶって。

 

河内:

それから父とはこんなやりとりをしました。

「どうするんね」

「いつまでも持っとるな!そんな魚の皮みたいなもん早う捨てて来い!」

「うええええ」

両手を左右にばたつかせながら目をつむる私。

 

私は皮を修道の側溝に捨てました。

 

「痛い?」

と聞くと

「聞くな!」

と言われました。

 

 

写真の中のやり取り

 

私:それがこの時ですか。

私はスマホで「原爆 御幸橋」と検索して画像を表示しました。

私が20年間見続けた河内さんの後ろ姿の写真です。

 

記憶図書館4-2

 

私:この写真は有名ですね。何をしてたんですか?

 

河内:この時写真を撮られとるとは夢にも思いませんでした。

 

父が火傷をどうやって直すんかと思っとったら、そこの人(御幸橋の上の兵隊)が一所懸命油を塗ってくれよったんです。もう一人と覗きこんどった。

 

それで御幸橋の上で友人と

「私ら市内から出たことないけえ、みっちゃんがどっちに行くか決めてえや」

「どしてえ」

「みんな広島で生まれて広島以外のことを知らんのよ。あんた知っとるでしょ」

「私も知らんわいね」

と言っとるところです。

 

周りを見渡してみると市内は大火事じゃし、駅の方見るとまた火事じゃし、宇品の方からはお化けみたいな人らがいっぱい来よって。こりゃいけませんわって逃げ道を考えたんです。

「建物もなけらにゃ影もない、どうしよ」

言うたら父親が

「はあ(もう)川渡ってから江波へ帰ろうや。火事が収まったら江波から舟入に逃げよう」

言うけえ

「何を言うんね、そんなズルムケで。」

言うて。

 

私:「痛い?」って言ったら「聞くな!」って怒られったって。2年くらい前のテレビで河内さんの体験を見てまだ記憶に残っとる。

 

河内:そこまで見てくれたん、ありがとう!

 

橋の上では兵隊さんが2人で天秤棒に一斗缶に入った油を背負ってきては負傷者に塗っとった。風に当たっても痛くないようにね。

 

なんで私が写真撮られたんでしょうね。のちに会ったこの写真を撮った松重さんはこう言ってましたけどね。

 

 

→第5回へ続く